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第三十六話 好敵手
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ようとするも遅かった。
僕らを中心に、突如爆発が起きる……忘れる訳もない、以前も一度この身に受けたことがあるナノマシンによる水蒸気爆発、クリア・パッションだ。警戒していなかった訳ではないけれど、まさか自身も巻き込まれるような位置で使うとは思わなかった。その爆発で周囲のミサイルも全て誘爆し、僕自身も爆風でシールド壁へと吹き飛ばされた。
……かなりダメージを負ったけれど、それは楯無さんも同じはず。むしろ僕の一撃がある分、こちらが有利だ。簪さんは無傷だし、デュノアさんは……っ!? この位置は!
『ごめんなさい』
『しまっ』
背後から聞こえる声に動く間もなく、凄まじい衝撃が襲い掛かる。
そのまま再び僕は吹き飛ばされることになる。
彼女から受けた一撃は、パイル・バンカーによるものだった。超至近距離からでなければその効果は十全に発揮できないものの、楯無さんの一撃に完全にデュノアさんの存在を見失っていた僕は接近を許してしまった……。もしかしたらこうなることを見越して爆発の位置なんかを調整していたのかもしれない。
でも、まだ大丈夫。僕と楯無さんのダメージならこれで五分、それに簪さんがいる……まだ負けられない。
そう思った瞬間、僕の中に湧き上がる負の感覚。
つい先ほども感じた……破壊衝動。
『ぐ……』
『西園寺さん!』
僕の呻きに異変を感じた簪さんが声をあげる。
でも、返事をすることができない。
これは……もしかしたらボーデヴィッヒさんのコアに触れたときに感じた共鳴のようなものが影響しているのか。負けたくないって強く思ったことが原因なのか……。
束さんが言っていた、天照のコアのプロテクトは壊れているって。何かのきっかけでいつ暴走してもおかしくない、と。
それが……今なのか。まずい、ここでもし暴走なんてしてしまったら誤魔化しようがないしどんな被害が出るか……制御できない以上、楯無さん達を襲ってしまう可能性もある!
お願いだから……収まって!
必死に衝動を抑えながら願うと、その想いが通じたかのように徐々にだがそれは弱まってきた。
そして、それが完全に消えることを確認する前に僕の意識は途切れてしまった。
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