暁 〜小説投稿サイト〜
もしもこんなチート能力を手に入れたら・・・多分後悔するんじゃね?
十五夜 〜少女はその奇跡を忘れないだろう〜
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ラだっけ!?いや猫にキャラってあるのか知らないけど!!」

何あんたそんな忠義に生きるような猫だったの!?生前はノリのいい猫だと思ってたのに、死んだら性格変わるんだろうか?後で猫と喋れそうなクロエ君に聞いてみよう。
あとその歯が浮くようなセリフを淡々と言うのやめようか。すっげー恥ずかしいんだけど。

・・・誰も聞いてないよね、この会話?・・・よかった。みんなあっちの化け物に夢中みたいだ。


「あーうーあーうー・・・なんかもう色々台無しっていうか・・・取り敢えずぽんず、(おもて)を見せい」
「・・・見せなければ駄目ですか?」
「見せたくないの?」
「先も申した通り私は元来猫であるが故、人の形を主に見せるのは恥ずかしゅうございます・・・」
「そ、そう・・・なんか調子狂っちゃうなー・・・」

猫には猫にしか解んない恥じらいがあるようだ。いつも素っ裸で歩き回ってるくせに人型では顔を見せるのも恥ずかしいのかと思うと覗きたい気持ちもあるのだが・・・ペットが嫌がることは強要しない。飼主の鉄則である。

「ま、いいや。そのまま聞いて」
「・・・はい」

すー、はー、と灰の中の空気を入れ替える。海の匂いが鼻腔を満たすが、それよりなにより伝えたいことが多かったので言いたいことを整理した。ぽんずは相変わらず前を向いたままなので、その表情はおぶわれている私には窺い知れない。

「私、もう隠し事しない。自分にも嘘はつかないしもう逃げない。自分の命も大切にするから」
「・・・はい」

「うん。だから―――

 ―――もう居なくならないで。これから私が死ぬまで絶対死なないで。もう・・・独りにしないで」

「―――私はいつまでも貴方の飼い猫です。どの時代の、どの世界でも・・・ずっと一緒です」
「・・・うん」

それ以上言葉は続かなかった。瞳から溢れ出る滴とこみ上げた嗚咽を抑えるだけで精いっぱいになったから。流れ落ちる滴は海へと落ちてゆき、海水に混ざって消えていった。泣きたいほどうれしいのか、それとも安堵で内なる感情を抑えきれなくなったのか、私自身にも分からなかった。

おかしいなぁ。私ってこんなに泣き虫だったっけ?
でもまぁ・・・ぽんずと顔を合わせていなくてよかった。

この情けないであろう顔をぽんずに見せるのは、飼い主として恥ずかしいもん。

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