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ゲルググSEED DESTINY
第八十八話 黒衣の奴婢
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「ネオ・ジェネシス、発射まであと200秒」

「狙いを正確に定めろ。味方部隊には射線から離れるように指示しておけ」

メサイアの司令部では今現在、戦況の報告と共にネオ・ジェネシスの発射準備を進めていた。戦略兵器であるネオ・ジェネシスは要塞であるメサイアの最大の矛だ。エネルギーの充填時間は旧式のジェネシスは愚か、連合のレクイエムやコロニーレーザーなどと比べても大幅に短い時間で済む。
その威力も計画の段階では低下させることを想定していたが、コロニーレーザーの技術を転用することによってほぼ以前のジェネシスと変わらない威力を発揮できるものとなっていた。欠点らしい欠点と言えば、射角の調整が要塞に取り付けられていることによって難しいという事と、砲撃自体の大きさがメサイアに依存する為、一回り程小さいこと位である。

「目標、正面十一時の方向、味方艦隊下がります」

メサイア周辺に展開されている陽電子リフレクターが解除され、ネオ・ジェネシス発射の準備が完了する。

「向こうもこちらが撃ってくることは理解している筈だ。艦隊を下がらせた以上、狙う位置も気づかれているだろう。そういった状況下から我々の目的は敵の殲滅ではなく議長含めた主力部隊の強襲援護、陽動だという事を忘れるな」

司令の命令はメサイアのネオ・ジェネシスすらも囮に使うという暴挙とも言える戦略だ。だが、あながちこの戦略は選択肢として間違いでもない。内乱に近い現状は誰が議長側からミネルバの方へと裏切るかも分からない状況だ。実際にシン・アスカやジュール隊の面々は裏切っている。
そんな中でネオ・ジェネシスはその存在は既に一度目の発射と共に露見しており、小回りが利きにくい大型戦略兵器は狙い撃とうとすれば、容易くその狙いも見破られるだろう。ならば使い方を変えた方がより有意義であるはずだ。あくまでもこちらへと注意を向けるための兵器として使う。それに連動して敵の動きを鈍らせたその瞬間に主力部隊による強襲を仕掛けるという策。

「敵もまさかこちらが囮だとは思うまい」

「ネオ・ジェネシス、エネルギー充填完了。いつでも発射可能です」

遂にネオ・ジェネシスの準備が完了し、発射可能となった。しかし、囮であるとはいっても元味方を撃つというのは気が引けるのだろう。司令部は全体的に緊張した様子を見せ、肌に刺さる様な雰囲気を感じる。

「味方部隊は射線軸から下がったか?」

「はい、既に九割以上は退避を完了しています」

「よし、ネオ・ジェネシスを発射せよ!この戦争を少しでも早く終わらせる!」

そして、遂にネオ・ジェネシスが発射される。ガンマ線の高エネルギーが星間ガスやスペースデブリを過熱させ、発光が光の渦のように見える。皮肉にも美しさすら感じるこの砲撃は、一直線に戦線を切り裂くかのごと
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