第八十八話 黒衣の奴婢
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事に気づけない程、今のダナは驚いていたのだ。
『惜しいね。今のはよく気が付いたと思うよ、躱されるとは思ってもいなかったし』
ダナの目の前にいる機体は黒いリゲルグだった。ビームライフルの銃口は正面に構えられており、ネロブリッツのコックピットに狙いを定めている。
「ちょっと待ってくれよ!なあ、アンタ議長側のパイロットだろ?俺は味方だぜ?」
『初めましてになるけど知ってるよ、ダナ・スニップ。議長から直々に聞かせてもらってるからね』
誤解が無いか、或いは少しでも打破する手段はないかとダナは必死に考える。
『ま、自己紹介は省かせてもらうよ。悪いんだけど君はもう用済みらしいから死んで欲しいんだ』
「チッ、ふざけんじゃねえぞ……」
苛立ちを募らせながら悪態をつく。一見銃口を向けられていてはどうしようもないように思えるが、ネロブリッツの切り札である大型アームは未だにミラージュコロイドによって隠されている。
『それにしても仕掛けてた機雷に気付くなんて意外と繊細、いや神経質なのかい?』
つまり、デブリだと思っていたあの円盤型の何か機雷だったという事だ。ダナも直前まで気付かなかったが、随分と不自然なものだとは思っていた。その違和感が無ければ今頃お陀仏だったかもしれない。
「俺みたいな臆病者はそういうのに察しが良くねえと生き残れねえからな(今だ!!)」
油断したかのように動きを止めたその瞬間を狙って大型アームで捕らえようとする。見えない武器である以上気付かれないと、そう思ったのだが――――
『残念、それじゃあ俺はやれないよ』
一閃――――ビームライフルを持っていないもう片方の腕に握られていたビームサーベルによって大型アームは二本とも根元から切り裂かれた。咄嗟にトリケロスや六連ランチャーに取り付けられているクローで斬りかかろうとするが、それすらも撃ち抜かれ、そしてそのまま容易く切り裂かれた。
『言っただろ?知ってるって。考えてる事ぐらい予想がつくし、実力だって把握してるさ。それに、ミラージュコロイドは通用しないよ』
ゴールデンギャンと似た方法によってミラージュコロイドによって大型アームが隠れていることは既に見透かされていたのだ。背部の大型アームは愚か、両腕も失い、挙句余計な抵抗はさせないとばかりに頭も貫く。
「ま、待てよ!?俺はこんな所で死にたかねェ!?」
必死に懇願するダナ。生き恥を曝そうが、どんなに意地汚かろうが、最後には自分が楽しめて、勝てるような世界が欲しいのだ。普通は誰だって負けたくない、死にたくない。だが、黒いリゲルグのパイロット――――クラウ・ハーケンにとってはそのような普通の理由は最早理解できない類のものだ。
『知らないよ。来世にでも期待すれば?じゃあまあ
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