Development
第三十五話 居場所
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ハッキングを仕掛ける。
(これは……ひどい。幸いバックアップが残っているようだからこれをもとに復元して……え、なに!?)
浸食されたシュヴァルツェア・レーゲンの内部データの状況に驚きつつも修復の糸口を見つけた紫苑だが、その直後に彼は自分の意識に何かが滑り込んでくるような感覚に襲われた。
「dafkjadao aeiofjad woidfjmv」
言語どころか、声としても認識できないような機械的な音。だが、それが自分に向けられているのは何故か理解できた。そしてそこから感じる殺意のようなものはひどく生々しい。
それと同時に、紫苑の中に言いようのない感覚が湧き上がってくる。
(ぐ……これ……は)
それは破壊衝動。
いま、助けようとしている目の前の少女ごとシュヴァルツェア・レーゲンを破壊してしまいたいとすら考えてしまう。その衝動を紫苑はなんとか抑え、混乱する頭を落ち着かせながら今の状況を整理する。
(もしかして……シュヴァルツェア・レーゲンの暴走に天照のコアが共鳴した……? このまま時間をかけすぎると僕まで浸食されるかもしれない。でも、今の殺気のようなものはいったい……まさかコアの意志?)
まるでコアが自我を持っているかのごとく、紫苑に対して向けられた殺意。それに共鳴するかのように天照から湧き上がった衝動。わからないことばかりだが、今は考えるべき時ではないと紫苑は思考を切り替えてこの状況を打破する方法を考える。
が、次の瞬間先ほどとはまた違った感覚が紫苑を襲う。
「……お前はなぜそんなに強い?」
直接頭の中に響いてくるような声、紫苑はすぐにそれが誰のものか察する。
(これは……ボーデヴィッヒさん? まさか相互意識干渉!?)
クロッシング・アクセスとはIS同士のコア・ネットワークにより、操縦者同士の波長が合うことで無意識的に起こる現象だ。意識的に行われるプライベート・チャネルとは異なり、両者間の潜在意識下で会話や意思の疎通を図ることができる。
とはいえ、波長が合うということ自体が稀でありIS同士を直結したこの状況だからこそ起こりえた奇跡かもしれない。
紫苑はこの状況を利用し、いまだ現実には意識が飲み込まれているラウラを覚醒させることでシュヴァルツェア・レーゲンの制御を取り戻させる手段をとることにした。
「ボーデヴィッヒさん、私より強い人なんてたくさんいますよ。でも……あなたが私のことを強いと思うのなら、それは私を支えてくれる人たちの強さです」
「くだらない……強さとは自分自身の力のはずだ」
「そうではないことは、先ほどの試合であなたも感じていたのでは?」
「……」
紫苑の言葉をそのまま受け取ることが出来なかったラウ
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