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第三十五話 居場所
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『さて、緊張が解れたところでいきましょうか』
『えっと……あ、はい。でも、どうするんです?』
そこで漸くからかわれたことに気づいたのか、少し気まずそうな顔をしつつこの後どうするのかを訪ねる。それを確認してきたということは、本当の意味で落ち着いたのだろう。
『私と簪さんで彼女を引きつけますので、隙を見て零落白夜でシールドを切り裂いてください。シールドが無効化されたタイミングで……直結してハッキングを仕掛けます』
『え? ハッキングって……』
『時間がありません、いきますよ』
『あっ、もう……なるようになれ!』
紫苑の言葉を理解する間もなく二人はラウラへと向かう。
そこでは簪が砲撃を繰り返して一定の距離を保とうと試みていたが、徐々にその距離を詰められていた。
「簪さん、お待たせしました。戦闘データを織斑君へも送ってあげてください」
「ん……了解です」
さすがに一人で相手をするには荷が重かったのか簪は息が荒くなっているが、紫苑の言葉になんとか応える。
『一夏さん、弾道予測データが送られてきますので当たらないようにしてくださいね』
『えっ、もしかしてミサイル……俺のこと狙わないよね?』
『……善処する』
『ちょっ!?』
紫苑の言葉に、一夏はこの後に起こることを理解する。
だが先ほどまで自分を狙って襲ってきたミサイルの群れの中に飛び込んでいくのはさすがに躊躇われるようで、恐る恐る彼は簪に確認をするのだが返ってきた答えは不安なものだった。
無情にも、そのままミサイルは放たれて悲鳴のようなものが響き渡った。
しかし幸いにも……というのが適切かはわからないが、一夏をロックオンしたミサイルはなかったようで全てがラウラへと向かう。
最初のうちはビクビクしながら簪のほうを気にかけていたようだが、やがて信用したのか目の前の相手に集中する。
紛い物、といってもデータ自体は歴代最強と名高いブリュンヒルデのものだ。
三対一という状況にあってもなかなか隙を見せることがない。とはいえ、限界はある。一夏がラウラへと集中したのを契機として、紫苑がミサイルの弾道に沿って強襲する。ミサイルの対処にラウラが動いた瞬間にそのまま斬りかかる……が、ギリギリのところで回避される。
『織斑君、今です!』
『はあああぁぁぁっ!』
直後、一夏が自身のエネルギーを注いだ一撃でラウラの変形した装甲を削り取る。
『ぎ……が……』
うめき声のようなものが聞こえ、その動きが止まる。
一夏の零落白夜によりシールドエネルギーが削り取られてシステムが一時的にダウンしたようだ。
その隙を逃さずに紫苑がラウラに接触、メンテナンス用のコネクタを接続して暴走したシュヴァルツェア・レーゲンへと
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