十七 駆け引き
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様に見つかったら…」
彼の背後に近寄った多由也がそっと囁く。気配を消しての接近だったが、ナルトは事も無げに返事を返した。
「おそらく里外にいると思っているよ。まさかまだ里内にいるとは考えてもないんじゃないかな?」
昨晩同時刻に派遣しておいた影分身ニ体。その内の一人が白・再不斬とドス・キンを引き合わせ、片一方が大蛇丸と対面した。彼らが体験した記憶と自身が昨夜収集した情報を照らし合せる。
大蛇丸の考えに反し、影分身の術者であるナルト本人は未だ木ノ葉の里に滞在していたのだ。
「…テメエの度胸には恐れ入るぜ」
大蛇丸の裏を読むナルトの優れた見識に、多由也は感心を通り越した、どこか呆れ返った表情を浮かべる。逆に感服の嘆息を漏らすのは、ナルトの後方で控えていた君麻呂だった。
「―――ところで、なんでウチはついて行っちゃ駄目なんだよ!?」
いっそ暢気にも見えるナルトの態度に流されそうになって、多由也は慌てて眉を吊り上げる。怒っているのだが、実際のところ彼女は拗ねていた。
「多由也は木ノ葉崩しのための布石を担ってるだろう?【四紫炎陣】を張るタイミングを三人と合わせる訓練をしないといけないんじゃないのか?」
ナルトに正論を返されたものの、むっつりと唇を尖らせる多由也。彼女の不機嫌をひしひしと感じたナルトが微苦笑を浮かべる。
「木ノ葉崩しまでには戻って来るから」
子どもを諭すかのような物言いが気に食わなかったのか、多由也はわざと昂然たる態度をとった。
「…一ヶ月もかかるなんて甘いぜ。二週間でケリつけろよ」
彼女の辛辣な言い草に、ナルトではなく君麻呂が即座に反応する。
「多由也!!ナルト様に対してそんな口の利き方…ッ!!」
「うっせ〜な。君麻呂には言ってねえだろ…。大体テメエはナルトと同行するんだろうが…。―――で、どうなんだ?」
君麻呂を恨みがましく見遣った後、多由也はナルトの顔を覗き込んだ。それはやや押しの強すぎる、だが反論を許さない口調であった。
君麻呂には、今の多由也の心情が手に取るようによくわかる。彼とてナルトが白と共に任務へ赴く度に、苛立ちを募らせていたのだから。
だからと言ってナルトに挑発的な態度をとるのはいただけないと、君麻呂は苦々しげに多由也を睨みつける。対してナルトは多由也の挑発にわざと乗り、「わかったよ」と答えた。
ちらりと中忍第二試験の舞台であった『死の森』がある方向へ目を向ける。そして多由也と顔を合わせ、ナルトはしっかりと言い切ってみせた。
「十日で片付けてくる」
一先ず満足げな顔つきをした多由也と別れた後、ようやく木ノ葉の里を出たナルトと君麻呂。
高まる高揚感を抑え、君麻呂はやっとのことでナルトに「どちらへ行かれるんですか?」と問い掛けた。ナルトと同行出来ると
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