囲碁部は俺の宝物です。
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て!」
くっ、好き勝手言いやがってもー……せっかく土曜日に約束して、子ども達の前で打たなくて良いと思ってたのにな。
でもまぁ、確かに中々無い機会なんだ。 前向きに考えることにしよう……。
美鶴先生が碁盤を部屋の真ん中に用意してにこやかに笑った。
「部活終了時刻があると思いますので、先ほど生徒さんが言っていた一手10秒の早碁にしましょう」
「ええ、すみません、子ども達のわがままにつき合わせてしまって……」
「気にしないで下さい。 それに――」
不意に美鶴先生が耳元に唇を寄せてきた。
「――ゆっくり打つのはまた土曜日にできますし、ね……?」
「ひゃっ、ひゃい!」
子ども達に聞こえないようにするためか低い声で囁かれ、思わず耳を押さえて飛びのいてしまった。
うはぁ……背筋がゾクゾクする……。
だからそういうのは女の子にやれって!
女子がキャーキャー言い始めたのを黙殺し美鶴先生と向かい合って座る。
置石なんて何年ぶりだろうか。 久しぶりすぎていくつ置けば良いのかさっぱり分からず悩んだが、美鶴先生が三子と決めてくれたので助かった。
そうして打ち始め、中盤に差し掛かってくると実力差が大して無いことが分かった。
もしかして、実力的にほぼ互角くらいなんじゃないか……?
早碁が特別苦手……というわけでもなさそうなんだが。
ともあれ置石のお陰でずっと俺が優勢だ。
ぶっちゃけ守ってれば勝てるのだが、困惑してるところに捨て身の猛攻が直撃し、地味に地を削りとられてしまった。 盤面は非常に細かくなっている。
子ども達にはどちらが勝っているか判断するのも難しいだろう。
最後まで油断は出来ない――って、あれ?
何か、この打ち方凄くデジャヴなのですが……。
あっ、ほら、この打ち込みの仕方なんか……そう思って見てみればさっきの捨て身な攻め方も――いや、でも……。
そっと美鶴先生の顔を窺うと、ニヤリと悪戯っぽく笑いかけられた。
ちょ、まさか――!
「――お、お前……Mituru……?」
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