囲碁部は俺の宝物です。
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っとりと美鶴先生を見つめている女子がチラホラいたが、対局が始まれば全員真剣な表情になるのが誇らしい。
去年、創部当初はルールも知らず碁石でおはじきしていたとはとても思えない。 碁の精神からみっちり教えこんだ甲斐があったというものだ!
部員数は12名。 12面打ちともなると随分壮観だ。
あまり人数が多いと混乱しそうなものだが、美鶴先生はどんな盤面でも適切に打ち返し、生徒の一手がより良い一手となるように導いている。
見事な指導碁だ。 流石プロ!
しかし、時々安藤のところで感心したように手が止まる。
ふっふっふっ、その子は俺の秘蔵っ子だからな!
中々やるだろ?っと内心鼻高々だ。
全員の指導碁が終わり、一人ずつに置石の数が指示されていく。
その数は俺がいつも指示している数と一緒だった。
自分の判断が日本一を争う人と同じとか……じ、地味に嬉しい。
「君、名前は?」
「えっ! あ、安藤太一ですっ!」
「安藤君ね。 君、なかなか筋が良い。 院生の一組に匹敵する。 もう少し研鑚を積めばプロ試験合格も夢じゃない」
「あっありがとうございます!」
安藤が大絶賛され声を上ずらせて感激している。
俺も今日は空気でいようと思いつつ、つい口元がにやけてしまう。
「そうだな、置石は六……いや五子に挑戦してみるか?」
「は、はいっ!」
そうして置石を置いての対局も終わり、全員がアドバイスを貰ったところで調度良い時間となった。
美鶴先生の打ち方は、思い切り手加減しているから分かり辛いが、どうやらどちらかと言うと攻撃的な打ち方で、やはりMituruを彷彿とさせる。
『Mituru』は本名なのかと思っていたが、美鶴先生をリスペクトしてあのハンドルネームにしているのかもしれないな。 今日会えたら聞いてみよう。
そんなことを思いつつ、美鶴先生に近づく。
「それでは、そろそろ良い時間になってきましたので――」
「ねーねー椎名センセー」
「ん? どうした?」
「俺、椎名センセーと美鶴先生の打ってるところ見たいなぁ」
「えっ」
急な無茶振りに目を丸くすると「あ、私も見たい!」「せっかくの機会なんだから打って貰えよ!」などと次々声が上がっていく。
「ちょ、お前ら何言ってんだっ。 俺はいーの! もう時間も無いし――」
「一手10秒とかの超早碁にすればいいじゃん」
「あれー? 何々シーナちゃん逃げんの?」
「あ゛?」
「――私なら、別に構いませんよ」
な、なんだって……!?
「もうこの後は帰るだけですから。 椎名先生のご迷惑にならないようであれば」
「う……美鶴先生がそうおっしゃるのなら……」
「よっしゃー! 先生対決きたー!」
「シーナ先生がんばっ
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