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渦巻く滄海 紅き空 【上】
十六 内通者
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のへんでお(いとま)させてもらうよ」


わざとらしく一礼したミズキが掻き消える。彼が消えた後には木の葉が数枚舞っていた。
渡された紙を薄目で見た後、それを懐に入れる再不斬。ミズキが消えた場所を暫し睨んでいた彼は、はたと空を仰いだ。


地平へと沈みゆく太陽。落陽は、木ノ葉の危機を警告するかのように赤く燃えている。
まるで空に血をぶちまけたような緋色。その色に混ざる黄金色に、寸前の芝居を打たせた金髪少年の姿が思い浮かぶ。
「ナルトなら解る、か。知ったような口利きやがって……だが、」
ニィと口元に弧を描き、再不斬は木の枝を蹴った。己の大事な首切り包丁を預けている白が待つ宿を目指し、駆ける足は心なしか軽快である。


昂る気を抑え切れず、彼は夕陽に向かって低く吼えた。

「面白くなってきやがった…ッ!!」

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