十六 内通者
[2/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
――――――これからも」
閉口し、子どもらしからぬ瞳でナルトは虚空を見つめている。粛々とした雰囲気がその場に漂った。
言葉の意味を問おうと君麻呂が口を開きかける。だがそれより早く、ナルトを呼ぶ声が君麻呂の質疑を遮った。
「ナルト!!…テメエ、わざと失格になりやがったな!?」
出会い頭に文句を言いつつナルトに駆け寄る多由也。どうやら中忍試験の本戦説明が終わったらしい。ナルトに問う機会を逃し、君麻呂は恨みがましく彼女を睨んだ。
「試験を受ける必要が無くなったからね。多由也こそ本戦出るの?」
「出るわけねえだろ。【四紫炎陣】の結界張るのに、チャクラ温存しとかなきゃいけねえんだから」
ふんと鼻で笑いながらナルトにそう答える多由也。中忍を目指す者達から非難を浴びそうな彼女の発言に、ナルトは苦笑した。
「一応訊くけど、本戦の組み合わせはどうなったんだ?」
「あ―――…確か一回戦が『波風ナル』VS『日向ネジ』。二回戦が『カンクロウ』VS『油女シノ』、三回戦が『テマリ』VS『奈良シカマル』。で、三回戦勝者がウチの相手…。最後が『我愛羅』VS『うちはサスケ』だったぜ」
ナルトの質問に、多由也が指折り数えながら答える。彼女の言葉を頭の中で整理しながら、君麻呂はナルトに尋ねた。
「…大蛇丸様が動くとしたら、うちはサスケの試合途中でしょうか?」
「そうだろうな。一ヶ月でどこまで強くなったか少しは観ておきたいだろうし」
君麻呂の言葉に相槌を打つナルト。そんな彼に、今度は多由也が問い掛ける。
「本戦までの一ヶ月、担当上忍が本戦に出る下忍を個人指導するのが普通だろ?けど木ノ葉の七班は、うちはサスケの他に波風ナルって女が本戦に進んだ。ナルト、畑カカシはどう動くと思う?」
「そうだな…。同じ写輪眼を持っているし、なにより大蛇丸に狙われているのを考えれば、うちはサスケを指導するだろう。それに、うちはサスケに畑カカシがついてたんじゃ、並みの忍びは迂闊に手を出せない」
ナルトの答えに感心するものの、気になる点を思いつく君麻呂。彼はおずおずとその気掛りな点をナルトに話す。
「…しかし修行が始まる前ならば簡単に手を出せるんじゃないですか?例えばそう、今なら…」
君麻呂の危惧通り、ちょうど今、うちはサスケの周辺で事件が起きているのだが、ナルトは涼しげな顔で「手は打ってある」と答えた。
そしてふっと視線をある一点に向ける。彼の視線の先を追って多由也と君麻呂もそちらに目を向けた。
そこには強張った、だが何かを決意した顔でこちらを見つめる者がいた。予想通りの顔触れに、憂愁の色がナルトの瞳を一瞬掠める。
だが彼は平静な態度で、唐突に口を開いた。
「さて、返事を訊こうか?」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ