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渦巻く滄海 紅き空 【上】
幕間 音の三人衆
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でうちはサスケがいる木ノ葉の七班を襲ったものの、そのサスケに腕を折られ掛けた。予選試合でも対戦相手であった油女シノの奇壊蟲の前に破れ去り、おまけに右腕を失った。

口を噤んでしまったザクに、ドスは追い打ちをかけるように言葉を続ける。

「ザク…。うずまきナルト君は「今、選んでくれ」と言った。つまり『今』しかチャンスがないという事だ…。うちはサスケにしろ中忍試験にしろ、僕達はしくじった。この失敗に、大蛇丸様がどんな処罰をするのかも解らない。だからと言って、どうせ逃げたところで追手が来るに決まってる。なら一か八か、ナルト君に賭けてみたらどうだろう?」
ドスの隣で相槌を打つキン。二人の顔をザクはじっと見つめる。



暫しの沈黙。




その沈黙を、どうやら本戦説明が終わったらしく、闘技場から聞こえてきた喧騒が破る。
直後、彼は【斬空波】を放った。
















パラパラと医務室の壁の一部が崩れ落ちる。瓦解した壁の破片が、ドスの足の爪先にカチンと当たった。

【斬空波】の衝撃により、壁に大きな円形の穴が空いたのだ。その穴を空けた張本人はじっと顔を伏せている。
「…ザク……」
「行っちまえよ」
おずおずとキンが口を開き掛ける。だがそれを、突き放すかのような物言いでザクは遮った。

壁面に空いた円環からは外の景色が覗える。その有様はまるでガラスの無い窓のようだ。窓ならぬ壁穴から見える光景。
前景には塔の周囲に点々と生える草木と、木の傍で佇む二人の少年がいる。髪の色から、その一人が交渉を持ち込んできた少年―――うずまきナルトだと、三人ともすぐにわかった。

「悪いけどな。あの野郎の言葉には耳を貸せねえぜ」
ナルトを視界に入れながら、ザクははっきりと口にした。意外と忠実である己の性格が災いして、彼はナルトの、そして同班からの誘いを一蹴する。

「俺は、大蛇丸様に忠誠を誓ったんだ」

清々しいくらいの表情で、ザクは口元に弧を描く。外から壁の穴を通って吹き抜けてくる風を顔面で受け、彼は目を細めた。
ドス・キンと違い、ザクは大蛇丸に選ばれた事を生きる拠り所にしていた。心の支えとしてきたモノを、今更取り下げるつもりはない。
躊躇いの無い様子のザクに、ドスは一言、こう返すしか無かった。


「ザク、貴方とは同じ任務を与えられた間柄でしかなかった…――――残念ですよ」





音忍三人衆――キン・ツチ、ドス・キヌタ、ザク・アブミ。
その名前はツチ骨・キヌタ骨・アブミ骨という三つの骨から成り立つ耳小骨を思わせる。鼓膜の振動を蝸牛の入り口に伝える役割を持つそれらは、切っても切れない相互関係にある。可動連結している三つの骨だが、隣接しているツチ骨とキヌ
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