幕間 音の三人衆
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ついた千本が、先程ザクが蹴ったベッドの脚に刺さっている。千本の先に繋がっている特殊な鈴の音が、彼を動きが取れない状態に追い込んでいた。
膝をついているザクをちらりと見遣ったドスが、キンに顔を向ける。ザクの時とは反して、キンは真剣な眼差しでドスと目を合わせた。
「あの、うずまきナルトの言葉…。信じる?」
「彼には二度、助けられたのでね…。一度目はサスケくんを襲った時…。そして二度目は試合中にね」
「どういう意味?」
大した事ではないがシカマルとの試合時にキンは負傷した。気絶したために医務室で目を覚ました彼女が、ドスの試合を見ているはずがない。故にナルトが我愛羅とドスの試合に割り込んできた事など彼女は知らない。
観戦していないキンの設問に応え、自身の予選試合での出来事をドスは語り始める。その一方で、ザクは彼の話に聞き入っているキンをじっと睨みつけていた。
鈴の音のせいで、彼の視界に映る同班の二人が二重に三重にとブレて見える。幻覚だと解っていても多人数に増えて見えるドスとキン全てを、ザクは憤怒の形相で睨みつけた。
「―――自分が失格になるのも厭わずに、あの砂の我愛羅の前にねえ…。……ひょっとすると、大蛇丸様より強いって可能性も…」
「そこまでは解りませんけど、我々より遙かに強いのは確かですよ」
ドスの話を聞き終わったキンが感嘆の声をあげる。心が揺るぎ始めている彼らは膝を交えて話し合った。
「でも大蛇丸様が私達の忠誠心を試してるってのも考えられるよ?実は大蛇丸様の腹心の部下で、裏切るかどうか確かめるためにわざと交渉したとか…」
「それは無いでしょう…。あの大蛇丸様が僕達程度の下忍相手に、こんな回りくどい事すると思いますか?」
「…悔しいけど、それもそうだね…」
ザクを気にも留めず、互いに議論するドスとキン。いい加減頭にきたザクが無事だった左腕を掲げた。
腕に穿たれた孔から放出した風は、狙い違わずキンの鈴を破壊する。
鈴を壊した衝撃で一瞬目眩を起こすが、幻覚は確かに消えていく。頭を振りつつも、クリアになった視界にザクはくっと口角を上げた。
「おい!てめえら、俺を無視してんじゃねえッ!!」
再び左腕を掲げ、彼は手のひらをドスとキンに向ける。【斬空波】を放つ体勢のザクに気づき、キンは顔を強張らせた。逆にドスは悠然とした態度を崩さず、ザクにも誘いの言葉を呼び掛ける。
「現実を見なよ、ザク…。結局我々は大蛇丸様にとって下っ端に過ぎないんですよ」
「う、うるせえ!うるせえ!!大蛇丸様は俺を選んだんだ!!てめえらこそ、大蛇丸様に対して恩を仇で返しやがって…っ、ふざけんなッ!!」
「大蛇丸様が二度失敗した者を許すと思うのかい?」
「……ッ、」
静かに問われたザクは、一瞬言葉に詰まった。
大蛇丸の命令
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