幕間 音の三人衆
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の態度がキンの興味を引いた。
音も気配も一切立てずに現れ、それでいて圧倒的な強さを周囲に印象づけるナルト。彼の一挙一動を何気なく追う内に、多由也が抱くナルトへの想いをキンは察した。
その事実に気づいた時、キンはなんとなく腹が立った。自身の周囲には気になる異性がいなかった。だから恋なんてものに現を抜かしているからくノ一は見下されるのだと思い込んだ。だがその反面、恋愛する一般の女性に憧れを抱いていた。春野サクラを馬鹿にしたものの、キンも十四歳の女の子。正直、恋愛事に関心があった。
恋をしているために美しく手入れされていたサクラの髪を妬んだのと同様、キンは多由也にも嫉妬した。自分以上に男勝りである多由也が恋をしているなどと認めたくはなかった。
そこで益々、うずまきナルトに興味が湧いた。
勝気で毒舌で好戦的な多由也が、借りて来た猫のようになる唯一の存在。
中忍試験中、暇さえあればキンは彼を注意深く観察していた。そして彼女は、図らずも自身の主である大蛇丸に疑念を持ち始める。
ナルトを注視する事で集中力が高まったキン。彼女の心にふと、大蛇丸に対する疑点が浮かんでくる。
うちはサスケを殺すように命じておきながら、予選ではサスケの試合しか観戦しなかった大蛇丸。彼の行動には腑に落ちない点が多い。
今まで駒として動いていたが、一度疑いを持てばキンも大蛇丸の言う事を素直に信じられなくなっていた。
不審に思い始めた主と、興味があって心引かれる少年。
両者を天秤に掛けたキンの心は、現時点ではナルトのほうに傾き掛けていた。
俯いたまま何も言わないキンを、怪訝な顔で覗き込もうとするザク。だがドスが漏らした呟き声により、彼は動きを止めた。
「答えが決まってる…。では、その答えを決めたのは誰ですか?」
「…何、言ってんだ。ドス…?」
目を大きく見開いてザクはドスを凝視する。言葉の意味が理解出来ていないかのような風情で彼は再度尋ねた。その声は今までとは一転して震えている。
ザクの声音の変化に気づかない振りをして、ドスはひた、と彼の目を見据えた。
「今まで僕達は大蛇丸様が命ずるままに動いてきた…。ですが、本当にそれでいいんですか?」
「ドス…。それ以上は口が過ぎるぜ」
大蛇丸に従う者としてドスの言葉は度を越している。
目を吊り上げたザクがドスの口を塞ごうと躍起になる。だが彼が行動を起こす前に、今度はキンがドスの言葉を促した。
「それで?続き、話しなよ。ドス」
「キン!?てめえまで……ッ」
同班の二人が自分の考えと違う事にザクはようやく気がついた。しかしながら何時の間に仕掛けたのか、彼の耳に美妙な鈴の音色が届く。途端自身の意志とは裏腹に、ザクの膝がガクリと床についた。
キンの武器である鈴の
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