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第三十四話 黒い雨
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つもりだったな、うん』
紫苑が一夏と打ち合っている間も、ラウラの砲撃はお構いなしに襲ってくる。紫苑は余裕があるものの、一夏は背後からくる砲撃をおっかなびっくり躱している状況だ。
『……照準ok、いって!』
ラウラの攻撃は紫苑と一夏に集中していたため、簪はロックオンに集中することができた。
すぐに、彼女は山嵐を発動させる。一夏に8発、ラウラに4発のミサイルがそれぞれ独自の軌道で襲いかかった。6基のポッドから発射される8連ミサイル、最大48発がこの武装の最大威力だが、この場では敢えてその四分の一のみ放つ。
そしてそれに呼応するように、紫苑は一夏に正面から渾身の一撃を浴びせる。当然、一夏はそれを防ぐもののその威力にはじき飛ばされて距離を取らされ、そこにミサイルの斉射が追い打ちをかける。
一方のラウラだが、避ける様子もなくただ手を正面に向ける。
『ふん、小賢しい』
すると、彼女に向かっていたミサイルがすべてその場で停止する。
これが彼女の専用機シュヴァルツェア・レーゲンが有する特殊兵器、アクティブ・イナーシャル・キャンセラーだ。通称、慣性停止能力と言われるこの能力はもともとISに搭載されている、浮いたり加減速したりといった慣性を制御するパッシブ・イナーシャル・キャンセラーを発展させたものだ。AICは任意に対象の動きを制御することを目的としたものだが、その構成の困難さから理論上の兵器とされていた。それを近年ドイツが実用化に成功し、初めてシュヴァルツェア・レーゲンへと実装されたのだ。
『さすがに厄介な能力ですね、ですがこれも想定内です』
『なっ!?』
一夏と対峙していたはずの紫苑が、突如としてラウラの背後に現れる。そのまま天叢雲剣を斬りつけるも、ラウラもかろうじて反応してプラズマ手刀でそれを防ぐ。しかしその瞬間に停止させていたミサイルが再稼働して再びラウラに襲いかかる。
そのころ一夏は、というと簪の放ったミサイルの対処に追われていた。
加えて、簪は照準を完全に一夏に定めて背中に搭載されている2門の速射荷電粒子砲『春雷』で追撃している。以前にセシリアとの戦いでミサイルの対処を覚えた一夏だったが、その時とは数が違う。なんとか躱しながら一つ一つミサイルを落としていくも、少しずつ被弾していく。
試合開始からここまでの流れは、完全に紫苑と簪が思い描いた通りになっている。最初の一夏の突撃を紫苑がいなし、その間にミサイルを斉射。紫苑は一夏と距離をとりミサイルの相手をさせ、そのままおそらくPICでミサイルを止めるであろうラウラの背後に回り込んだ。
『小癪な!』
もし、ラウラが反応できなければそのまま紫苑の一撃を浴びた上でミサイルの斉射を受けて致命傷になってい
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