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第三十四話 黒い雨
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な人間ではない。であるなら、自分と同じように不本意ながら恨みを買ってしまったのかもしれない、とこの場では納得することにした。
いきなり辛辣な言葉をぶつけられて、紫音に申し訳ないと視線を送るもその度に眩しい笑顔が返されるので目をまともに合わせられない彼は、自然とその隣の少女へと目を移した。
そして、何故かその少女がラウラも真っ青なレベルで射殺さんばかりの視線を送ってくるのに気づいた。
『……許さない』
『あ、あの……お嬢さん?』
『潰す』
『え、えぇ!?』
簪の件こそ、完全なとばっちりではあるのだが一夏は知る由もない。
(う〜ん、因縁が絡まりすぎてよくわからない状況に……こうなると下手に連携をとるよりも……)
「簪さん、あの様子だとボーデヴィッヒさんは織斑君ごと攻撃しそうですし、そうなるとまともな試合になりそうもありません。楽に勝てるかもしれませんがそれはあなたとしても本意ではないでしょう? なので、私がボーデヴィッヒさんを抑えますので簪さんは織斑君の相手をお願いします」
紫苑はプライベート・チャネルで簪だけに聞こえるように話しかける。これがトーナメントである以上、相手の連携の不備を突くのが当然ではあるものの、これは簪の専用機の初戦である上にこれに勝ち上がれば楯無との試合が控えているのだ。まともな実戦のデータは少しでも欲しい。
加えて簪は一夏と、紫苑はラウラと因縁ができてしまっている。下手な決着で後々に痼りを残すぐらいなら、納得がいく形で終わらせたほうがいいと紫苑は考えた。
「わかりました」
「とはいえ、あくまで分断は相手の同士討ちを防ぐためなので……」
「こちらの連携を控える必要はない、ということですね?」
そのやり取りに、簪がちゃんと落ち着いていることを確認して紫苑は安堵する。
分断はあくまでも試合を成立させるための手段であって、一騎打ちをしたい訳ではないのだ。
『内緒話は済んだか?』
こちらの様子を冷めた目で見ていたラウラが声をかけてくる。
試合開始まで一分を切っているためすでに臨戦態勢だ。
『えぇ、おかげさまで準備は万端です』
紫苑と簪も構える。
カウントは進み十秒を切る。
『そうか、ならば……』
ラウラが言葉を言い切る前に、試合開始の合図が鳴る。
『墜ちろ!』
『ぉぉぉおおお!』
同時に、ラウラはレールカノンを放ち一夏はブーストを使い一気に距離を詰める。
しかし紫苑らにとっては想定内の行動であり、落ち着いて対処をする。レールカノンによる砲撃を躱しながら、紫苑は一夏を迎え撃つ。その間に、簪は専用武装である8連ミサイルポッド『山嵐』によるロックオンを完了させる。
『おわっ! ラウラ、俺まで巻き添えに……する
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