第27話 新しいゲーム
[8]前話 [1]後書き [2]次話
世間はクリスマスムード。たくさんの店がクリスマス商戦でにぎわっている。
オトナもコドモも浮き足立っている中、ここ、桂ダンススクールではいつも通りのレッスンが行われていた。
「新しいゲーム?」
ダンススクール教室の鏡際。咲はタオルで汗を拭きながらつい言い返していた。
「うん。光実兄さんのアイデアでね。ロックシードの生る森があるんだって。そこへ行って、ロックシードをいちばん多くあつめた人が勝ち」
「そんな森があるの?」
「あるみたい。兄さんも、あと、チーム鎧武の葛葉さんと、高司さんて人も行ったことあるんですって」
「ふーん」
「光兄さんは咲にもこのゲームに参加してほしいみたいなの。キョウリョクシャは多いほうがいいって言ったけど、出るかどうかは咲しだいだから」
「まあ……あたしたち、いちおーバロンに勝ったってことになってるから、参加しようと思えばできると思うけど」
「? 咲?」
咲はヘキサの顔を覗き込む。まだ言いたいことを言いきっていない顔だ。
このゲームは勝っても負けてもリトルスターマインにメリットがない。
アーマードライダーの代理戦争で勝敗が決まる現状では、必ずしもロックシードが要るわけではない。ランキングに拘っているわけでもないから、参加して敵を増やす理由もない。
「ヘキサは出たいの?」
それでも、ヘキサが持ちかけたということは、彼女の家庭事情に関係することだろうから、尋ねた。
「……前に、わたしには兄さんが二人いるって話したの、覚えてる?」
ヘキサの言葉を一つでも忘れるわけがない。
「上の兄さんがね、その森で何かしてるみたいなの。しかも、鎧武の葛葉さん……殺されかけたって」
「ころ…っ」
「もし兄さんがそんなことしてるんだったら、今まで兄さんからしてた血のにおいもナットクできる。でも、人を……光兄さんの大事な人を殺しかけたなんて……信じたくない、のに」
咲はヘキサの背中をそっと撫でた。
「……光実兄さんも、上の兄さんがそうかカクシンが持てないから、今回の新しいゲームで、兄さんかもしれない人――白いアーマードライダーのショータイをつきとめようとしてるの」
「アーマードライダーなの?」
ヘキサは沈んだ面持ちになったが、しっかりした表情を取り戻して首を縦に振った。
「わたしも知りたい。ほんとに兄さんがアーマードライダーなのか、葛葉さんを殺そうとした人なのか。だから、もし咲が出なくても、わたしは光実兄さんといっしょに出るつもり」
[8]前話 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ