十五 交渉
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
そして実にわかりやすい取引を持ち掛ける。
「俺と共に来るか、大蛇丸の許に戻るか―――ああ、逃げるというのも一つの手だな」
そして彼は、ぽかんと口を開けて見つめてくる三人の顔触れを見渡すと、一語一句強めて言い切った。
「今、選んでくれ」
「予選は無事終わり、本戦に入るようです」
膝をつき頭を垂れた青年が長髪の男にそう告げる。男に対する青年の態度はどこか緊張気味であり、その場には緊迫した空気が流れていた。
そんな中、場違いにも鳥の囀りが聞こえてきて、長髪の男が感慨深げに口を開く。
「それにしても長閑(のどか)…いや、本当に平和ボケした国になったわ。どの国も軍拡競争で忙しいって言うのにねえ…」
青年の報告を聞いているのかいないのか、爬虫類を思わせる瞳を細めて男は眼下に広がる里を俯瞰した。里で指名手配されているはずの彼は、大胆にも一際目立つ場所で悠然と街並みを眺めている。
歴代火影の顔が彫られた崖。岩肌に施された火影の中でも三代目の若き顔上に男は立っていた。
さながら火影そのものを踏み躙るかの如く。
「…今なら獲れますか?」
「ふ、まぁね…。あんな爺の首を獲って楽しいかは解らないけど…」
薄笑いを浮かべた男――大蛇丸が視線を外す。彼の瞳がどこか遠くを見ている事に気づき、青年――カブトはわざと唆すような物言いで尋ねた。
「…そうでしょうか?僕にはまだ、貴方が躊躇しているように思われますが。これから各隠れ里の力は長く激しくぶつかりあう…。音隠れもその一つ、」
そこで言葉を切ったカブトは緩慢な動作で、眼鏡のブリッジを軽く押し上げる。
「貴方はその引き金になるおつもりだ…。そして彼はそのための『弾(たま)』なんでしょう?うちはサスケくん、でしたっけ?」
「フフ…。お前は察しが良過ぎて気味が悪いわ…」
「そうでもありませんよ。ドス・ザク・キンのことは知りませんでしたからね…。それに、まさかナルトくんが来てるとは思いも寄りませんでした」
ふっと目線を大蛇丸から逸らして、カブトは一端息を吐いた。彼の顔は太陽の光に照らされてよく見えない。暫しの躊躇を見せた後、カブトは己が抱く懸念を口にした。
「私はまだ…完全に信用されていない、みたいですね…」
自嘲染みた笑みを口元に湛え、そう呟くカブト。そのいつになく自信無さげな態度に、大蛇丸は目を細めた。
「ドス達如き下っ端の話を『右腕』であるお前に言う必要があったかしら…?それにナルト君の事は私も知らなかったこと…。お互い様よ…」
大蛇丸の言葉を耳にして、カブトは顔を向き直す。眼鏡奥の瞳が怪訝そうに細められた。
「ナルトくんは……。何が目的で木ノ葉に…?」
「さぁ?正直言って彼の考える事は私
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ