暁 〜小説投稿サイト〜
渦巻く滄海 紅き空 【上】
十五 交渉
[2/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
に従っているのを訝しげに思いながらも、ドスはナルトの後に続いて衝立の向こうに回り込む。
里ごとに区切られているのか『音』と書かれた暖簾を払い除ければ、ザクとキンが即座にベッドから跳ね起きる。彼らのベッドは隣接しているようだ。
同じ班であるドスを瞳に映し、安堵する二人。だが視界にナルトの姿が入った途端、彼らは眉を顰めた。

「テメエは…うずまきナルト!?なんでここに…ッ」
「静かに。音を遮断する結界は張ったけど、あまり大きな声は出さないでくれ」
ナルトの一言でザクとキンはぐっと口を噤む。両者ともナルトとリーの試合を目の当たりにしているため、彼の実力を嫌というほど知っているのだ。
しかしながらいくら得体の知れない強者でも、その目的は探らねばならない。腕があったはずの右肩を左手で押さえながら、ザクは低い声音でナルトに問い掛けた。


「……何しに来た…?」
「交渉しに」


端的にナルトは言う。ドスの左足に手を翳した彼は、至極率直にザクの問いに答えた。
自分の時は何度訊いても答えなかったのに、と若干不機嫌になったドスは左足の違和感がすっかり無くなっている事に気づくと驚愕の表情を浮かべる。
「…い、何時の間に…」
「これでドスは大丈夫。ザクは…」
「触るな!!さっさと出てけ!!」
右肩に触れようとしたナルトの手を叩き払ってザクは怒鳴った。彼は今、物凄く不機嫌だった。


大蛇丸様のためにとうちはサスケを襲い、返り討ちにあった。試合でも油女シノにあっさり敗北し、おまけに片腕を失った。
大蛇丸に捨てられるという恐怖、そして自分のプライドがズタズタに裂かれ、彼の精神は非常に不安定だった。
それなのに目前の金髪少年は自分の手が届かないほどの強さを持っている。
中忍第二試験の際、多由也含むザク達に襲い掛かったサスケの豪火球を一瞬で消し、予選でも卓越した体術熟練者であるリーを圧倒し、そして今もドスの怪我を治す手腕を見せつけた。

要するにザクは、ナルトが妬ましくて堪らないのである。



「…交渉とは何ですか?」
猫が毛を逆立てるように威嚇するザクの隣で、ドスは口を開いた。
彼がナルトに向ける視線は敵意や殺意などではない。ドスはもはやナルトを敵としては見れなくなっていたのだ。
懸命に真意を探ろうとナルトを見つめているドス。それに驚いたのはザクだけではなくキンもだった。
「お、おい。ドス…」
「話してください」
困惑したザクがドスに話し掛けるが、ドスの瞳はもはやナルトしか映っていなかった。

ナルトの言葉を礼儀正しく待っているドス。忌々しげな表情を隠しもせず、苛々と貧乏揺すりをするザク。そんな二人の間でおろおろするキン。
表情や態度でそれぞれの性格を見透かしたナルトはちらりと視線を君麻呂に投げた。

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ