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東方攻勢録
第八話
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トも入れながら刀を振るう。数回相手に防がれたが、一瞬のすきをついてナイフをはじく。


「すきあり!」


妖夢はノーガードとなった相手の胴体を切り裂こうとする。刃を翻しているので死にはしないが、拘束させるには十分だろう。

だが、相手もそこまで甘くはなかった。


(これでおわ……!?)


妖夢はなぜか攻撃をやめて距離を取ろうとしていた。

相手の左手には、ナイフではない黒い物体が装備されていた。さっきまで持っていなかったところからみると、どこかに隠し持っていたのだろう。その後、妖夢の予測どおり発砲音が鳴り響き、彼女のすぐ横を鉛玉が通り抜けて行った。


(ハンドガン持ち……やっぱり外来人ですか……)

「ふぅ……あぶっ……」


謎の人物は思わず声を漏らしていた。今の声からして男だろう。


「やはり外来人ですか……ここに来たということは、偵察か一人になった者の捕獲ですね」

「……」

「そろそろ答えたらどうですか? ここで時間をかけても、私の仲間が来るだけですよ!」


妖夢はまた男との距離を詰めると、続けざまに攻撃を加える。男は反撃することもできず、ひたすら攻撃を避けた。


(このまま攻撃を続ければ、いずれ体勢が崩れるはず!!)


流れは確実にこっちのものだ。持久戦に持ち込み攻撃を加え続ければ、最悪倒せなくても戦意をそぐくらいはできるはずだと、妖夢は確信していた。しかし、その確信があだとなったのか、彼女の攻撃はどんどん大きくなりすきが増え始める。

さっきまで妖夢と互角の戦闘を行っていた男が、それを逃すわけがなかった。


(これでおわっ――)


妖夢は決め手を入れようとしたのか、大きく刀を振ってしまう。男はそれをしゃがみながら避けると、地面に手をつき、ガラ空きとなった彼女の足元に蹴りを入れる。


「しまっ……きゃあ!」


思いっきり足をすくわれ、尻もちをつきながら倒れる妖夢。男はナイフを構えると、彼女の首もとに向けて突き出した。


(あっ……)


思考がとぎれてしまった妖夢は、もう何も抵抗することなくナイフを見ていた。軌道から見て完全に急所狙い。切られた瞬間に死が確定するだろう。

安易な考えを持ったことを後悔していた。いままで同じ間違いを何度行っただろう。成長できなかった自分を悔み、ふに落ちないまま死を覚悟し目を閉じる。






たが、彼女に死が訪れることはなかった。






(……え?)


何秒待っても喉を切られる痛みこなかった。即死だったのか死んでることに気付いていないのかわからないが、何か違和感を感じていた。訳が分からないまま、妖夢はゆっくりと目をあける。

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