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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百二話 没落の始まり
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バグダッシュ准将ですがこの命令の大本はシトレ元帥閣下より出ております」
なるほどと思った。和平交渉の邪魔になる様な事はしないという事か。

「しかし、それでは仕事になるまい。違うかな?」
「その代わりと言っては何ですがルビンスキーの取り調べを防諜課が行う事になりました。もっとも取り調べはヴァレンシュタイン中将、バグダッシュ准将が必ず立ちあう事になりますが……」
「そちらが有ったか」
私の言葉にバセット大尉が頷いた。

「現時点においては最優先で得るべきは地球教の情報だと我々は認識しています。国内で彼らの暗躍を許す事は出来ません。帝国から地球教の情報を得るためにも閣下の行動を監視する様な事はしません」
バセット大尉が笑みを浮かべた。やれやれだ、自由は保障するから情報を寄こせ、そういう事だな……。



帝国暦 486年 10月20日    オーディン   オフレッサー元帥府  ラインハルト・フォン・ミューゼル



すぐ来い、と言われてオフレッサーの執務室に行くと既にリューネブルクが部屋に居た。ソファーにオフレッサーと差向いで座っている。オフレッサーが俺を見て頷いた。座れ、という事だろう。軽く会釈をするとリューネブルクの隣に座った。

「話しておくことが有って来てもらった。少し長くなるだろう、楽にしろ」
長くなる? チラっとリューネブルクを見たが彼も訝しげな表情をしている。どうやら何も聞いていないらしい。
「今回の地球討伐だが卿らは昇進はしない、勲章の授与となった」

その事は聞いている、同時期にクロプシュトック侯の反乱が有りそれを貴族達が鎮圧したのだがその手際が酷かった。そのため彼らには恩賞らしい恩賞は無い、その一方で俺達を昇進させれば当然だが反発が生まれる。そのため勲章だけで済ますらしい。

「卿らが地球教の地下本部から持ち帰ったサーバーだが情報部と社会秩序維持局が調べている。一度地中に埋まったせいで損傷が酷いらしい。残念だが完全な復元は無理だそうだ」
「……」

オフレッサーは面白くなさそうな顔をしている。しかしこればかりはどうしようもない、こちらも最善を尽くしたが連中は自らの手で地下本部を爆破したのだ。掘り出すのにも一苦労だった。制圧よりもそちらの方が時間がかかった。戦争では無く土木作業にでも来たようなものだと俺とリューネブルクはぼやいたくらいだ。

「それでも部分的に復元できたところも有る。ブラウンシュバイク公、リッテンハイム侯が喜んでいた。反乱軍、いや同盟との取引に使えるだろうとな、良くやってくれた」
褒められるとは思っていなかったから意外な思いがした。どうやら知らないうちに金鉱を探し当てていたらしい。

「……取引ですか?」
リューネブルクが問い掛けるとオフレッサーが頷いた。

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