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第三十二話 共犯者
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線の先は……胸?
「どうし……!?」
どうしたのか、と聞こうとしたが自分の胸を見て言葉が詰まる。
つけっぱなしだったパッドだが、転んだ衝撃なのか何かにひっかけたのか、激しく裂けてしまっていた。
「なんで……!?」
明らかに大怪我ともいえる傷から一滴の血も流れていない異常な光景に少女は目を逸らす。その先は……。
「え、男……?」
僕の下半身だった……。
「あ、うあ!?」
「え、あ、え……ご、ごめんなさい、え! あうっ!?」
思わず飛び退いてタオルで隠すも遅かった。彼女も飛び跳ねて、慌てて離れようとするも無理な体勢が祟り、再び転んでしまう。
「きゅぅ……」
さすがにこの状況で再び助けることができるほど冷静ではなく、彼女はそのまま地面に倒れ込み気を失ってしまった。
「あぅ……どうしよう……」
浴場で全裸で気絶する少女の前にいる同じく全裸の男もどき。完全に犯罪者だ、どうしてこうなった……。
僕はなるべく裸を見ないように、混乱する思考をまとめつつ目の前の少女が怪我をしていないことを確認する。そして再びこの後のことを考えて頭を抱えることになる。
「で、攫うことにしたと」
「人聞きの悪いこと言わないで!?」
僕一人ではどうしようもなかったので、すぐさま楯無さんを呼んだ。
裸の女の子を僕がそのまま介抱するわけにもいかないし、放置するなんてもってのほかだ。仕方ないので、楯無さんに服を着させてもらいなんとか見つからないように楯無さんの部屋に連れてきた。
本当は保健室に連れて行くのがいいんだろうけど、僕と彼女双方の事情を鑑みて部屋にした。幸い怪我はなかったので、気を失ったのは倒れた衝撃と……うん、考えたくないけど僕を見た衝撃だよね。客観的に見て裂けた偽乳つけた全裸の男ってトラウマになるレベルかも……あぅ。
「一人で悶々してるところ悪いけど、これからどうするつもり?」
楯無さんの声に我に返る。どちらにしろ、男であることがバレた可能性は高い。例え僕の顔までは覚えてなかったり、気絶したことで例え夢だと勘違いしたとしても僅かでも疑念が残れば後々命とりになってしまう。
だったら、すべてを話して味方に引き入れるほうがリスクが少ないと思う。
もちろん、この子の反応次第ではそれも難しいかもしれない、その場合は楯無さんに協力してもらってでも対策しないといけない。僕の正体がバレるだけで済めばいいけど、下手をすれば楯無さんや千冬さんにも被害が及ぶ。それだけは避けたい。
脱衣所に残された制服などからこの子がシャルル・デュノアを名乗って転校してきた本人だというのは確認できた。なら、最悪の場合でもそれを盾に黙らせることも出来る。
でも、できれ
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