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第三十二話 共犯者
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を正して答えた。
「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」
直立不動のその佇まいは多くの人が想像するであろう軍人のそれだった。
あまりに簡潔すぎる自己紹介に、周りの反応は鈍い。というよりもどう反応していいのかわからない。
「あの……終わりですか?」
「あぁ、以上だ」
恐る恐る問いかける真耶への返答は無情だった。別に彼女が悪いわけではないのに、涙目になってしまっている。
そんな教師を無視して、ラウラは何かに気付いたように歩き出す。やがて立ち止まった先は一夏の前だった。
「貴様が……!」
そう言いながら、思いきり彼の頬を引っぱたく。
あまりの衝撃に、一夏は椅子から転げ落ちてしまった。
「ぐはっ」
やや情けない声を出しながらひっくり返る一夏。
ラウラとしても、千冬に言い含められていたこともありそこまで強く叩くつもりはなかったのだが、数日前の出来事でイライラが募っていたこともあり、半ば八つ当たり気味になってしまった。
そんなことを知る由もない一夏は訳がわからず混乱している。そこに、追い打ちをかけるようにラウラの一言が襲い掛かる。
「貴様のせいで……貴様に汚されたこと、許しはせん!」
その瞬間、空気が凍る。誰の、何を、といろいろと足りない彼女の言葉は誤解を招くに十分だった。
「……一夏さん?」
「……一夏?」
「いや、ちょっと待て!?」
「あなたという人は!」
「問答無用だ!」
新たに出現した鬼二名が一夏に追撃を仕掛ける。そもそもの発端であるラウラもさすがにこの展開にはついていけず、さきほどまでの怒りの表情は薄れて呆気にとられていた。殴ったことで溜飲が下がったことも一つの理由なのかもしれない。
一方、千冬はというと先日の忠告にも関わらず問題を起こすラウラを見て頭を抱えたが、意外と元気そうな弟の姿と、その様子を見て呆けているラウラを確認してどうしたものかと思考を切り替える。とりあえず、ラウラ他数名の説教は確定した。
「静かにしろ! ボーデヴィッヒ、オルコット、篠ノ之、織斑、貴様らは放課後に指導室へ来い!」
「な、なんで俺まで……」
朝一で放課後の説教が決まり、項垂れる一夏。
その後新たなルームメイトであり、同じ男子ということで仲良くなったシャルルと一緒に迫りくる女子から逃げ回り、放課後は千冬による説教に巻き込まれ、彼が本当に安堵したのは放課後にセシリアと箒の誤解が解けたときだった。
◇
「髪の毛、だいぶ伸びてきたなぁ」
僕は初めての大浴場で、入学時と比べてかなり長くなった髪の毛を丁寧に洗いながら一人ごちる。
もともとは肩ほどまでだったものが、人より伸びやすい体質もあって今では腰に届くほどまで伸
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