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第三十二話 共犯者
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のさらなる気苦労を生んでいるようだ。
「ホームルームを始める、席につけ! 凰、お前も早くクラスに戻れ!」
救いの声……といえるかはわからないが、教室の扉が開き千冬の声が響き渡る。
騒がしかったクラスの生徒もすぐに席へと戻り、鈴も慌てて自分のクラスへと戻っていった。そして静まり返る教室内を見渡して千冬が再び口を開く。
「よし、まずは転校生を紹介する。ボーデヴィッヒ、デュノア、入ってこい」
その言葉にざわつきが起こる。それも当然だろう、つい先日にも別クラスだが一人転校してきたばかりだ。それがこの短期間に、しかも二人とくれば何かあると思うのが自然だろう。
そしてざわつきは、その転校生が入ってくることでさらに大きくなる。
一人は小柄な銀髪の女生徒。眼帯をしているのが特徴的で、表情は険しい。その容姿はどこか普通ではないものの、この学園においてはもはや騒ぐほどではない、と言えた。誰のせいとは言わないが。
問題は、もう一人である。
線の細い顔立ちに、綺麗な金髪を後ろに束ねた姿は美少女と言って差し支えない。しかし……。
「え、男……?」
クラス内のどこからか漏れた呟き、しかしそれこそがこのざわつきの原因だ。
その転校生は一夏と同じ制服……男子用の制服を着ていたのだ。
「シャルル・デュノアです。ご覧のとおり男ですので、こういった環境では不慣れなことも多いと思いますがよろしくお願いします」
ご覧のとおりと言われても見た目は女の子みたいだ、と心の中でツッコミをいれた者は少なくないだろう。だからといって男であることを疑っているかというと、そうではないらしい。
千冬はその自己紹介を聞きながら、脇で少しだけうんざりした表情をしている。それは決して、シャルルの自己紹介に対してではなく、これから起こるであろうことに対してだ。
案の定、教室内に響き渡る黄色い声。騒ぎ立てる生徒たちを鬱陶しそうに見つめる千冬。彼女にとっては毎年付き纏うこの声だが、未だに慣れないようだ。
「あぅ、まだ自己紹介が終わっていないので静かにしてください〜」
真耶がオロオロしながらその場を鎮めようとするが、相変わらず威厳が感じられないその声に従う生徒は少ない。
「黙れ、騒ぐなと言っている」
だが、続くこの声に逆らう愚か者はこのクラスには残っていなかった。入学して間もないとはいえ、すっかり彼女の厳しさは浸透している。主にその弟に振り下ろされてきた出席簿によって。
「……挨拶をしろ」
「了解しました、教……織斑先生」
千冬は周りが静かになったことを確認して、もう一人の転校生に挨拶を促す。
それに了承の意を伝えようとした矢先、途中で彼女が睨んでいることに気付き、あわてて呼び名
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