第八十七話 信念
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れ――――
俺は、ラウ・ル・クルーゼでも、アル・ダ・フラガでもないんだ――――
ラウはもういないんだ――――
だから誰か、認めてくれ――――
俺を――――
レイ・ザ・バレルという存在を――――――
そんな叫びがシンには聞こえた気がした。
『議長は…定められた運命を受け入れることが幸せだって言った……』
鍔迫り合いの中でシンは呟く様にそう言う。その言葉は当然レイにも聞こえていた。
『でも、レイのその運命は?確かに、クローンとして生まれたレイには生きていける時間は短いかもしれない。だからって、俺達が一緒に過ごしてきた記憶まで全部偽者だっていうのかよ!運命は自分の手で切り拓けるものなんだ!俺は、お前の運命だって変わって欲しいんだ!!』
SEEDが覚醒する。ニュータイプとしての素質とSEEDの覚醒が拒絶することなく、寧ろ交じり合うように、すとんと頭の中でピースが嵌るかのごとく噛みあった。
『――――――――ツッ!!??』
最大加速によって光の翼が大きく展開される。それを警戒したレイは距離を一旦取り直してドラグーンでの攻撃に切り替えた。
ニュータイプとSEEDの両方の能力が噛みあったおかげか、初めてバイオセンサーが完全に反応する。これまでシンはニュータイプとしての素質こそ見せていたが、それを機体の操縦といった面で発揮することはなかった。寧ろ、その面だけで見るならばマーレの方が上だったと言える。
元々、ニュータイプ理論などというものが一般的に存在していないこの世界であれば、自身がニュータイプであるという事を知ることなど出来ない為、その能力がこれまで発揮しきれなかったのは当然だと言える。だが、シンはニュータイプとしての素質をSEEDの覚醒と合わせて発揮することで解消したのだ(本人に自覚は全くないが)。
『馬鹿な!ミリ単位で機体の操縦を行っているとでもいうのか!』
ドラグーンで狙いを定め、放ち続けているにもかかわず、一発もその攻撃が当たらない。いや、当たらないというだけならばまだしも、その攻撃が総て見切られ、僅かな隙間を縫うように躱していくのだ。機体を操縦するという一手間が存在しているにもかかわらずそのような動作。普通であればありえる筈もない操縦だ。
『一体何だ、それは!?どんなトリックを使っているという!?』
これまではあくまで理論上でしかパイロットの操縦を補佐しなかったバイオセンサーが今は正常に(寧ろ異常に?)反応し、思考を直接機体に反映させることで小さな動作を補っているのだ。
『レイ――――お前は、本当に自分が大切に思っていることを守ればいい。皆、自分の信念を貫き通すために戦っているんだから。でも、だからこそ俺も戦わないわけにはいかないんだ!他でもない、自分の意志を貫き通す為に!!俺
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