第47話 「できる事と、やりたい事と、やるべき事」
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のだ。
「……これは……」
「帝国のトップ。好き勝手、やりたい放題しているように見える皇太子ですら、そうなのだ。ままならないものだよ」
あの皇太子を比較の対象として、持ってくるのはどうかと思うが、理解しやすいだろう。
それに例はそれだけではない。
「他にも似たような例はある。例えばヤン・ウェンリー君もそうだな。彼は歴史学者になりたかったそうだ。しかし歴史学者としては並みだろう。参謀として優れていてもね。本人からしてみれば、不本意なものだ」
そして君は軍官僚だ。
どれほど前線指揮官として、奇跡の様な勝利を望んでも、叶えられる事はない。
しかし官僚としては、ヤン君は、君の足元にも及ばないだろう。
「六個艦隊を生き残す。できるだけ、負けを少なくする……。良いでしょう。補給を完全に行い。あの皇太子の思惑を粉砕してやりましょう」
フォーク君が笑う。
良い笑みだ。方向性が変わったな。
そう、やり方こそ違うが、打倒皇太子だ。
武断主義でない、本質的に文官である皇太子に勝てるのは、同じく文官として優秀な者だ。
戦場以外で勝つ。
そしてそれができるのは、軍内では、君おいて他にはいない。
自覚していないだろうが、君の政治的な手腕だけだ。
■クロプシュトック領内 ヨハン・フォン・クロプシュトック■
天は人の下に人を造らず、人の上に人を造らず。
しかして人間社会を見渡してみれば、その有様、雲と泥のようだ。
人の価値は学問の有無にある。
「だから学問に勤めて切磋琢磨せよっ!!」
農奴の子らを集めて、声を張り上げている。
いままでの帝国であれば、この様な物言いは政治犯として、捕らえられてしまうだろう。
「しかし今の帝国は違う。帝国は変わったのだ。そしてこれからも変わる帝国にあって、諸君は生きねばならぬ。その時必要になるのは、学問である。いいか、それを忘れるんじゃないぞ!!」
強引に無理矢理、農奴の子らを学校に通わせる。
その許可を宰相閣下から頂いた。
「皇太子殿下は、あのお方は! 諸君の将来を考えて下さっている。これは諸君が得た機会だ。無駄にするんじゃないぞ」
いずれ帝国全土で行われるだろう。農奴の子らに対する教育。
そのテストケースとして、まずはクロプシュトック領内で行う。予算は親父からぶんどった。
泣きそうな目をした父から、奪ったのだ。
未来への投資だ。がたがた抜かすな、と強引にもぎ取ってやった。
『……ヨハン。変わってしまったのか……そんな子ではなかったのに、口も悪くなってしまったのだな』
『ええい。うっとうしい』
口調の悪さは、皇太子殿下譲りだ。なんか文句あるか?
農奴の子らの中には、自分の名も
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