第十章 イーヴァルディの勇者
エピローグ エルフからの問い
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飾りをタバサの髪に差す。髪に差された髪飾りに手を当て、ロングビルを見上げたタバサの額に軽くキスすると、ロングビルは軽く手を振りながらぎゃあぎゃあと言い合いを始めたキュルケとルイズの中に向かって歩き出した。
タバサは笑う。
朗らかに、楽しげに笑った。
涙を流しながら笑った。
空から大切な使い魔―――シルフィードが降りてくると、ぺろりと頬を流れる涙を舐め上げた。
「……ありがとう」
様々な思いを込めて、タバサはシルフィードの頭を撫でる。気持ちよさそうに目を細め、きゅいきゅいと鳴くシルフィードに頬を寄せるタバサ。
カサリと芝生を踏む音を耳に、タバサが顔を上げると、そこには士郎の姿があった。
ゆっくりと近づいてきた士郎は、タバサの目の前で足を止めると、足を曲げ、タバサと視線を合わせる。
「遅くなってしまったな」
優しく笑いかけてくる士郎に、タバサは顔を伏せると小さく顔を横に振る。
ゆっくりと顔を上げ、士郎を見るタバサ。
『イーヴァルディの勇者』が手からすべり落ち、芝生の上にとすん、と、落ちた。
―――……父は、もういない……母の心が、戻ってくる気配も……ない……
でも……。
―――笑顔は……ある……
どこまでも、どこまでも暖かく、柔らかな夢の中、タバサは幸せそうに微笑んでいた。
揺れる御車台に座り、身体を揺らしながら、士郎は星空を仰ぎながら思い返す。
エルフのビダーシャルが口にした問いを。
『―――貴様は知っているか?』
『―――『抑止力』という存在を』
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