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第三十一話 白銀の魔女
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愛かったよ、ふふ」
「もう! それより、頼まれてた件は調べがついたわよ!」
いつもからかわれてばかりの紫苑はここぞとばかりにこの話題に食らいつく。既に楯無の表情は真っ赤になっており、この話はここまでとばかりに話を切り替えようとする。この頼まれていた件、というのが紫苑の本来の用件だ。
「ふふ、ごめんごめん。それで、どうだった?」
「えぇ、あなたの言うとおりシャルル・デュノアはデュノア社の社長と愛人との間の子供のようね。加えてデュノアの縁者には彼以外にIS操縦者はいないわ。ただ、どうしても本人が表に出てくるまでに関する情報が手に入らなかったの」
紫苑が楯無に依頼したのは新たな男性操縦者、シャルルの身辺調査だった。もし性別を偽っている場合、学園で問題が起こる可能性があるとして協力してもらっている。ただ、遺伝子云々に関しては話していない。
本当の性別が判明すればその時点で終了なのだが、どうやらそのあたりのデータや情報は抑えられているようで、さすがの更識の力をもってしてもたどり着けなかったようだ。もしくは、本当に男性だったのか……。加えて、双子だったり縁者にIS操縦者がいないかも調べてもらったがそれはないらしい。
つまり、齎された情報からは相変わらず断定できないのだが……。
「でもまぁ……」
「えぇ、本人見たら……」
「女の子だよねぇ」
「女の子よねぇ」
明らかに女の子だった。線が細くスリムな体型で、やや長めで綺麗な金髪は後ろで縛られている。そして何よりその顔が中性的……というより女の子だった。
制服は男子の、というより一夏用に作られたデザインのものを使用しているが女子の制服を着たらそのまま美少女で通用しそうである。
物腰も男子というには柔らかく、一夏と一緒に並んでいるとそれが顕著だ。あれが男子なら同じ男子である一夏は何か別の生き物ではないか、と思えるほどだった。
しかし……だ。
「まぁ、普通なら女子だって断定するんだけど」
そう言いながら楯無は紫苑をまじまじと見つめる。
「はぁ、もっとすごい実例がここにいるのよねぇ」
「どういうことさ!?」
「あなたが男の子なんて、織斑君が女の子って言われても信じちゃうくらい衝撃的なことなのよ」
そしてため息を吐きながら紫苑を残念そうな顔で見つめた。
そう、女子っぽい男子……というより女子として扱われている男子がここにいる以上外見的な特徴だけで断定するのは早計に思われた。
もっともすぎる指摘を受けた紫苑は一瞬反論しようと試みるも事実なので何も言い返せなかった。その後拗ねてしまい何故か部屋の隅でのの字を書いている。
「ま、まぁ今のところは黒に近い灰色ってところかしら? まだ目的がわからないけれど警戒するに越した
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