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IS<インフィニット・ストラトス> ―偽りの空―
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第三十一話 白銀の魔女
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息の荒い簪と、それに優しく語りかける紫苑の声。

(ちょっと待って!? きついって何が? 馴染むって何が!? なんで簪ちゃんの声こんなに艶っぽいの!?)
 
「少し動かしますので痛かったら言ってくださいね」
「ん……あ」
(痛いって……だめ、だめよ! いくら簪ちゃんをお願いしたといってもそれ以上は、それ以上は……)
「だめ!!」

 扉を思いきり開け放ち叫びながら部屋に押し入る楯無。
 しかしそこにいたのは、白いISを纏った簪と少し離れた位置で端末を操作している紫苑の姿だった。
 楯無が何を想像していたかなど知る由もないが、もちろんそんな行為は微塵も行われていない。

「あの……楯無さん?」
「お姉ちゃん……?」 

 突然、意味不明な叫びと共に乱入してきて、何も言わずに俯いてプルプル震えている楯無に二人も訝しげに話しかける。

「そ……」
「そ?」
「そんなことだろうと思ったわよーーー!?」

 そのまま楯無は部屋を飛び出していってしまった。
 簪には見えなかったようだが、紫苑からはその表情が真っ赤だったのが見えてしまっていた。その原因まではわからなかったようだが……。

「なんだったのでしょう……」
「さぁ……私も時々あの人の事がわからなくなる」

 その場には状況が全く把握できない二人が取り残される。
 しばらくそのまま茫然としていたが、こうしていても無駄だと思い至り先ほどまでの作業を再開するのだった。



「ぷっ……あははは。それじゃ僕と簪さんが何かいかがわしいことをしてるって勘違いしたの?」
「もう、笑いすぎよ! あんな会話してたら誰だって勘違いするわよ、妙に簪ちゃん息が荒かったし……」

 作業が終わった紫苑は楯無の部屋を訪れていた。別の用件もあったのだが、先ほどの彼女の様子が気になったからでもある。
 そこで、紫苑も改めて経緯を聞いてみたら部屋の外で会話を盗み聞きしていた楯無がよからぬ勘違いをした、ということだった。

「ようやく組みあがった打鉄弐式の試運転と、そのあとのフィッティングをマニュアルで調整していたからね」
 
 紫苑が簪の専用機開発へ協力し始めてから飛躍的に作業が進んでいた。あれからラウラと問題が起こることはなかったのも幸いだった。まだ武装などの問題は多いのだが、基本ベースがようやく完成したのでひとまずその試運転を行っていたという訳だ。
 フォーマットやフィッティングは自動で行われるものだが、紫苑や束といったある程度の技術がある人間がいる場合はマニュアル調整することでより操縦者への適合率が高くなる。

「はぁ、どうせ勘違いした私が悪いわよ」
「もう拗ねないでよ。でも、あんなに取り乱した楯無さんは初めて見たかな。真っ赤になって走っていく姿は可
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