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第三十一話 白銀の魔女
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だって知られたらまずいことを抱えているんだから積極的には関わりたくないのだけど?」
「あぁ、問題ないさ。どちらにしてもこちらとしては男子生徒として受け入れざるを得ないからな。お前ならそれを見て、男女両方の視点から違和感を探ることもできるだろう」
「男女両方って……」
手段を選ばなければいくらでもやりようはあるんだろうけど、フランスの代表候補生というのがネックになってくる。下手をすれば、デュノア社だけでなくフランスが国ぐるみで関わっている可能性もある。そうなった場合にこちらの行動が問題になってしまう。
「わかった、期待に沿えるかはわからないけど、気にはしておくよ。にしても、ボーデヴィッヒさんの件といいなんで一気に問題ごとが……」
「私だって大変なんだ、教え子に女装男子がいたりな」
「あぁ! 今さらそういうこと言うの!? わかった、わかりました! 何かあったら手伝うって言ったのは僕だし、快くお手伝いさせていただきますよ」
最後はなんだかグダグダになってしまった気がするけれど、こうして僕のもとに新たな悩みの種が舞い込んできたのだった。
◇
紫苑と千冬との密談から数日。
遂にラウラ・ボーデヴィッヒとシャルル・デュノアの二人が転入してきた。学園の意図かどちらも1組への編入となっている。
その際にラウラが一夏を敵視して頬を引っ叩いたりシャルルと一夏が女子に追い回されたりと、いろいろあったようだが、なんとか大きな問題は起こっていないようだ。
一方、ところ変わってここは生徒も使用可能な整備室が並んでいる一角。そんな場所を訪れているのは更識楯無。何しにきたかというと……言わずもがな妹のストーキング、もとい様子を見にきたのだ。
(ん〜、最近簪ちゃんの表情が柔らかくなったというか、憑き物が落ちたような感じなのよね。もしかしたら紫苑君がうまくやってくれたのかしら)
未だに姉妹関係の修復には至っていないようだが、楯無は簪の心境の変化を感じ取っていた。それを嬉しく思うと同時に、紫苑が何かしら関わっているのかもしれないと考えるとなんとも言えないもどかしさを感じていた。もっとも、本人にその自覚はないようだが。
(もうすぐ個人別トーナメント。簪ちゃんの専用機が間に合わないといろいろ困るし、そうこれは生徒会長として様子を見るだけよ!)
誰に向けてかわからない言い訳を心中で叫びながら楯無は簪と紫苑が使用している整備室の扉の前へと立った。そーっと中の様子を窺おうとして、その手を止める。
「はぁ……ん、ちょっときつい……です」
「大丈夫ですか?」
「痛くは……ないです」
「では、少し我慢してくださいね。すぐに馴染むと思うので」
「ん、わかりました」
中から聞こえてくるのは少し
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