Development
第三十一話 白銀の魔女
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能性なんてほとんど皆無だ。
残る一つの可能性は……クローンだ。
実は僕は、千冬さんが話したがらない原因はここにあると思っている。
当然ながら織斑君と千冬さんは姉弟ではあるけど双子ではない。ではなぜ白式を、かつて千冬さんが使っていた雪片弐型を扱えるのか……その答えはそこにある気がしていた。
もちろん、織斑君が千冬さんのクローンである可能性は低いと思う。でも、そこにあと一人挟んだら……そう、もし織斑君が僕と同じように双子だったとしたら……。
「ふむ、やはりそうか。となると、なんらかの目的を持って偽っているということになる」
千冬さんの言葉に僕は脱線していた自分の意識を戻す。いま考えるのは織斑君と千冬さんのことではない。
「考えるまでもなく、織斑君だろうね。恐らく彼や白式のデータを盗むとかそのあたりじゃないかな。男性操縦者という立場なら近づきやすくなるだろうし。あ、デュノア社の現状を考えると注目を浴びての外部へのアピールや、イグニッションプランへの返り咲きを狙っている可能性も否めないか」
デュノア社は後発ながらラファール・リヴァイヴという優秀な第二世代機を開発して世界第三位のシェアを誇っている。一方で第三世代機の開発には遅れを取っていて、欧州圏の統合防衛計画『イグニッション・プラン』のトライアルから漏れてしまった。これは、デュノア社の機体が次期主力機とはなり得ないという烙印を押されたようなものだ。そのせいで今や経営危機に陥っているらしい。
「なるほど、な。学園としてもフランス大使館を通して要請がきており一夏と同じように扱わざるを得ない。部屋も不本意ながら同室になる予定だ。だがもし偽りだった場合、相手の思う通りにしてやるのも癪だ。そこで、だ」
あ、嫌な予感。
千冬さんの雰囲気が明らかに変わった、こういう時は大体碌でもないことを言われる。
「お前に見極めてもらいたい」
「僕に?」
「あぁ、もし演技だとしたらお前に一日の長があるだろ? なにせこれだけの女生徒に囲まれて未だバレてないんだからな。唯一バレた更識もうまく誑し込んでいるようだしな」
「誑し込んだって……」
千冬さんのあんまりといえばあんまりな物言いに僕は落ち込んだ。
以前は西園寺の命令、という免罪符があったけど今この学園に残っているのは僕の意志だ。引くに引けなくなったという言い方もできるけど。だからといって面と向かって言われると軽く傷つく。
「おや、違うのか? ふふ、まぁいい。私が直接調べてもいいんだが、なんせ雇われの身なのでな。下手に動くとフランスと学園両方から睨まれてしまう。もちろん、一夏に害が及ぶ可能性があるのならそんなこと関係なしに動くつもりだがな……」
「はぁ、代わりに僕に調べてほしいってことね。でも僕
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