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第三十一話 白銀の魔女
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と思ってるようだが……まぁ、それはさておき。以降もその襲撃者は度々現れてはドイツ軍へと打撃を与え……やがて漆黒のISと透き通るような銀色の髪からこう呼ばれるようになったそうだ、『白銀の魔女』とな」
ここまで聞いて察した。僕を見たときの彼女の呟きや表情の意味を。
「そして唯一ボーデヴィッヒだけが戦闘時に相手の素顔を見ていた……それがお前と瓜二つだったそうだ」
「そう……か」
この時、ぼくは二つの可能性が脳裏に浮かんでいた。どちらにしても、考えたくない代物の……でもどちらの可能性も高い、いやむしろそのどちらかしかないとすら思えた。
束さんは僕が爆発のあった研究所からかなり離れたところにいたと言っていた。
そして、その要因となったのが……ゼロス・フォーム。月読の暴走状態だ。
正直、あの期間に僕の体に何があったとしても不思議ではない。無意識に爆発から身を守って遠くまで移動することができるのなら戦闘行為すらできるのかもしれない。
もっとも、この場合束さんが僕に嘘をついていたことになるしそれを確認するにはやはり束さんに確認を取らなければ何もわからない。
そしてもう一つの可能性……ドイツで死んだと言われている紫音だ。
今までずっと不思議だった。生まれてこのかた会った記憶のない母、急変した父、そして病に倒れ死んだと聞いた紫音。でも僕は実際、倒れたと聞いてから紫音に会っていない。束さんによると僕も彼女も遺伝子関連の病気だったのだけど、僕がこうして助かった以上彼女が生きていても不思議ではない。
西園寺の家に絶望して目を背けていた僕は、今に至り何も自分のことを知らなかったことを思い知る。
どちらにしろ、ドイツでの襲撃事件に僕が無関係とは思えなかった。
「もっとも、お前の事情を話すわけにもいかないからな。ボーデヴィッヒには適当に言い含めておいたが……あれは納得していまい。今後も何かしらの干渉があるかもしれんが……自分で何とかしろ」
「うわ、丸投げ……まぁ僕のことだしね。了解、ただ巻き込まれた場合には多少は協力してほしいなぁと思ったりなんかして」
「ふふ、あぁわかってるさ」
その後はお互いの近況やクラスの状況、束さんについてなど雑談を続けた。
時間も過ぎ、とりあえず話すことは話したし今日のところは戻ろうかな、そう思ったとき千冬さんはおもむろに口を開く。
「あぁ、そうだ。言い忘れていたが後日男子に大浴場が解禁される予定だ。お前も今まで使えずにもどかしい思いをしていただろうが、男子の使用後に特別使用を許可する。しばらく様子を見ていたが時間外に立ち入る不届きものは今までいなかったからその時間帯なら問題ないだろう」
この寮の大浴場はどこのリゾートだと思うほど設備がいいらしい。らしい、とい
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