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第三十一話 白銀の魔女
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の場を後にする。
その後もずっと、彼女が僕を見て呟いた言葉が脳裏に焼き付いていた。
「来たか、入れ」
「はい、失礼します」
授業が終わり、約束通り僕は千冬さんのいる部屋へとやってきた。正直、今日一日はあの少女のことが気になってしまい授業どころではなかった。
部屋に入るなり、そんな僕の様子に気付いたのだろう千冬さんが苦笑しながら切り出した。
「さて、お前も気になっているようだが朝私の隣にいたのはこの学園に転入予定の生徒で名前はラウラ・ボーデヴィッヒ、ドイツの代表候補生だ。今日は入寮手続きにきていた」
また転入生……それも代表候補生であの状況から間違いなく専用機持ち。去年とは明らかに違う各国の動きに織斑君への関心の高さや政治的な意図が見え隠れしている。
「なるほど……それはわかったけど何故そのボーデヴィッヒさんは僕を見て攻撃してきたの?」
既に室内で人目を気にする必要はなくなった僕は口調を崩して素で問いかける。
僕の問いに対し、千冬さんは何故か少し困ったような顔をした。
「うむ、それなんだが……紫苑、お前は行方知れずになっていた半年間の記憶はあるか?」
そんな千冬さんが逆に僕に問いかけてくる。
行方知れずの半年、それは僕が研究室で襲撃にあって意識がなくなってから目覚めるまでのことだろう。
その間、僕は束さんに保護されていた。でもそれはあくまで束さんに聞いた話であって実際にどうだったかは分からない。束さんのことを完全に信じていることもあって、千冬さんに聞かれるまで僕はそのことを何も疑問に思っていなかった。
「いや、ただ束さんのところにいたとしか聞かされてないかな」
「そうか。ボーデヴィッヒが言うにはお前が行方不明になった事件のすぐ後にドイツでもある事件があったそうだ。あぁ、これから話すことは一応機密だから他言はするなよ」
機密をそうあっさりと話すのはどうなのか、という疑問はあるけれど今さらだし話を腰を折るのも気が引けるので僕は無言で頷く。
「ボーデヴィッヒはああ見えて軍人だ、今の階級は少佐。あぁ、ちなみに私が教官などと呼ばれていたのは依然私がドイツで一時的にISの教官として赴任したことがあってその時にな。で、だ。その事件の当事者というのが奴の所属しているIS配備特殊部隊『シュバルツェ・ハーゼ』……ある一人の襲撃者によって半壊させられたらしい」
そこまで言われて、あのときの彼女、ボーデヴィッヒさんの反応の理由に思い至った。
「まさか……!?」
「……その戦闘時にボーデヴィッヒの同僚も手ひどくやられたらしくてな、ISが操縦できなくなった者も出たとか。もっともあいつ自身は、怒りの感情は同僚に対してより自分の所属部隊がやられた事実に対してのものだ
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