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第三十一話 白銀の魔女
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「……Die Silberne Hexe……!?」
千冬さんへ声をかけると、隣にいた銀髪の少女はこちらを振り返り僕の顔を見て一言呟いた。
片目に眼帯をつけている少女は、つけていない方の赤色の目を見開き明らかな驚愕の感情を露わにしていたが、それはやがて仇を見るかのような憎しみの色を帯びていく。
「なぜ……なぜ貴様がここにいる!?」
直後、彼女はISを展開させる。明らかにこちらに敵意を向けておりこのまま攻撃されてもおかしくはない。
僕はあまりに急な展開についていけず完全に不意をつかれ初動が遅れてしまう。しかし目の前の少女はそんな僕にお構いなくこちらに攻撃の矛先を向ける。
まずい……間に合わない!?
彼女はそのままこちらに飛び掛かって……くる直前に地面に倒れ伏した……あれ?
「ぐっ!?」
「学園内で無許可で……それも生徒に向けてISを展開するとはどういう了見だ? お前の立場なら場合によっては退学処分だけでなく本国で軍法会議ものだぞ?」
めまぐるしく変わる状況に半ば僕はついていけずにいた。
どうやら彼女を抑えたのは隣にいた千冬さんらしい。あの一瞬でISを展開した相手を生身で組み伏せるとは……本当に人間なのだろうか。
「き、教官!? しかし!」
取り押さえられた少女は千冬さんの言葉に納得がいかない様子だったが抵抗するつもりはないらしい。
でも教官って……千冬さんのことだろうか?
「黙れ。それに私はもうお前の教官ではない、ここでは織斑先生と呼べ」
睨みをきかせながら少女に言い放つ千冬さん。
この二人がどんな関係なのかは知らないけれど、明らかな上下関係があるようだ。まぁ、千冬さんに逆らえる存在というものを僕は知らないんだけど。
「く……了解しました」
「まぁ本来なら処分するところだが今回は特に被害はない。それに……お前は正確にはまだこの学園の生徒ではないしな。とはいえ話は聞かせてもらうぞ」
渋々、といった形で千冬さんの言葉に頷く少女。
その間も僕への敵意たっぷりの視線が消えることはなかった。
「という訳で西園寺、何か用があったようだが後にしてくれ。そうだな、放課後にいつもの部屋に来い」
いつもの部屋、というのは僕と千冬さんが外部に漏らせないような会話をするときによく使っている部屋だ。この学園でも特別セキュリティが高い部屋で僕も確認しているからまず会話が漏れることはない。学園で素に戻れる数少ない場所でもある。
「わかりました」
僕に突然襲い掛かってきた少女のことについて何も説明がないけれど、それは後でしてくれるということだろう。
正直完全に置いてけぼりにされた形だけれど、ここで駄々を捏ねても仕方がないので僕は了承してそ
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