交差点の中心で理不尽を叫ぶ少女
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ドライバーもいた…どうやらシートベルトをちゃんと締めていたらしく、目立った外傷はなく無傷に見える。
走る姿も健脚ですぐに人の塊に紛れて見えなくなった。
大津波の直前のように人の波が消えていくのを茫然と見送ることしかできなかった。
気がつけば…あれほど周囲で自分に注目していた人間は一人もいなくなっている。
無人になった町の中、未だ交差点の中央にルイズだけが取り残されていた。
「な、何なのよ…そりゃあ、失敗した爆発魔法なんて…でも逃げる事なんて…」
言葉の壁はかようにも厚い。
ルイズの聞きとれなかった言葉にはテロだとか爆弾だとか言う単語がふんだんに含まれていたりするが、当のルイズは自分が危険人物と認識された事にすら気付いていない。
彼女は失敗したとはいえ魔法を見た彼等が自分の事を貴族と知り、今までの無礼に真っ青になって逃げ出したのだと判断している。
実際は、いきなり交差点の中心で“爆発物を爆発させた”危険人物から逃げ出した形なのだが…この認識の違い、常識の違いはこの状況においてかなりまずいのだが、それもまたルイズには分からない事だ。
「え?今度は何?」
人のいなくなった交差点の中央で茫然としていたルイズだが、殆ど間をおかずに再び囲まれる事になる。
ただし、今度彼女を囲んだのは先ほどまでの統一性の無い服装の平民達では無く、紺色の服を着た集団…軍かそれに似た統率された人間たちであるのは間違いない。
彼等は全員が鉄製の工具のようなものを両手で持ち、ルイズに向けている。
「ちょ、ちょっと…あんた達何してんの!!ぶ、無礼じゃない!!この杖とマントが見えないの!?私はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール!!ヴァリエール家の三女よ!!」
ルイズの余裕が一瞬で吹っ飛んだ。
彼等が何をしようとしているのか、あの道具が何なのかはルイズには分からない。
それでもこの状況がかなりまずく、自分が何かとんでもない事をやらかしてしまったのは、男達の様子と自分に向けてくる苛烈な視線から分かる。
この状況で自分の危機に気づけないのなら、人間として以前に動物としての生存本能に欠陥があるに違いない。
「■■■■―――!!」
「あーもう、だから分かる言葉で話しなさいよ!!」
男達…この世界の警官である彼等は、ルイズに武装を解除するように促したのだが、やはりルイズにはその言葉を正しく受け取る事が出来ない。
むしろ警官に杖を向ける始末だ。
彼女の国でなら、これだけで既に警告と恫喝となるが、地球においてはただ棒を向けられているとしか分からない。
警官達は“ルイズのマントの中に隠してあるかもしれない爆発物”に警戒はしていても、自分達に向けられている杖が危険だとは認識し
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