10夢
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「ツナ、今日もしっかり勉強してこいよ」
「よく言うよ。勉強は全然教えてくれないくせに」
笑顔で見送るリボーンに、ツナは小さな声で毒を吐いた。
「いってきまーす」
鞄を肩にかけて家を出る。
いつもと違って時間に余裕があり、普段より少しスローペースで歩いていた。
どう言うわけか、いつもは周りなんて気にもしないのに、この日はしきりにキョロキョロとしていた。
彼の超直感が何かを告げていたのかもしれない。
そして見つけてしまった。
路地裏で、自らの血の海に沈んでいる少女を。
「んなあっ!?」
年頃はツナと同じくらいだろうか。
念のために口元に手を近づける。
随分と弱ってはいたが、確実に息はあった。
「ど、どうしよう」
「病院に連れて行きゃいいじゃねーか」
突然に聞こえてきた声。
そこにいたのは案の定、さっき別れたばかりのリボーンだった。
「病院に連れてくっていってもな……」
少女の腹には深々と包丁が突き刺さり、今もなお血が流れ続けている。
「この状況どー説明すんだよ!」
リボーンは呆れたように溜め息をつくと
「いい場所がある。ついてこい」
そう言い残して歩き始めた。
「おいリボーン!!」
歩き続ける彼に自分の声は届いていないと察したツナは、少女を背負ってリボーンの後を追った。
*
「あ、ここって」
着いた場所、そこは中山外科医院。
数ヵ月前に色々とお世話になった廃病院だ。
「ここなら怪しまれずに看病できるぞ」
「なるほど。じゃないよ! 医者なしじゃ治療もできないだろ!」
「それなら心配ねーぞ」
ふと聞こえてきた、強く凛々しい声。
「ディーノさん!? どうしてここに?」
「ちょっと野暮用でな。それより、医者が必要なんだろ? ならロマーリオに任せておけ」
彼の後ろから現れたロマーリオを見て、ツナは安堵の息を付いた。
リボーンも安心したのか、少し表情が和らいだ。
「ツナ、お前は学校に行け。着替えも忘れんなよ」
「え?」
言われた意味が分からずに制服に視線を落とす。
「うわっ」
それは見事なまでに少女の血で赤く染まっていた。
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