DAO:ジ・アリス・レプリカ〜神々の饗宴〜
第十三話
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の四方を埋め尽くした本棚にはワケの分からない言語で書かれた本や、何に使うのかよくわからない置物が並べられている。部屋の中心にある巨大な机には、山の様に紙や本などが積み重ねられ、雪崩を起こした後のような有様になっている。部屋のそこかしこに蜘蛛の巣やカビらしきモノ、何なのかよくわからない茸まで生えている。
かつてこれほどまでに汚い部屋があったであろうか。小波の部屋ももう少しましだった気がする。
そして机に付属した椅子には、一人の長い髪の人間が座って、机に寝そべっていた。
「……先生」
ハクガが声を掛けるが、その人間は動かない。
「……先生」
「……」
はぁ……とハクガがため息をつくと、彼はおもむろにその拳を握って、構える。腕に淡いエフェクトライト――――そして、高速の打撃。かつてSAOで《閃打》と呼ばれた体術ソードスキルが、部屋の主に深々とクリーンヒットした。
「ぎゃぁぁぁっ!」
「うわぁぁぁぁっ!!」
がばっ!と跳ね起きた部屋の主に、ハクガが飛び退く。
「いった〜い……だれですか、こんな暴挙に及んだのは……せっかく人が気持ちよく寝ていたというのにもかかわらず!!」
ぐるり、とこちらを振り向いた部屋の主。澄んだ声は女性の物だ。ぼろぼろの白衣を着崩して、その下から肌色がのぞいている。セモンはとっさに顔をそむけてしまった。つまり彼女が――――
「僕ですよ、ハクアさん――――先生」
「ああ、あなたでしたか、ハクガ……これは後でお仕置きが必要かもしれませんね」
そしてセモンは考える。
ああ、どうして師匠世代は二口目には「お仕置き」なのだろうか、と。
***
「……と、言うわけで、改めまして、自己紹介をさせていただきます。初めまして。《古を詠む月》ハクアです。ハクガの師匠のようなことをさせていただいていました」
「今もでしょう、先生」
「そうでしたね」
ふふふ、と笑うハクアは、先ほどの乱雑な服装から着替えて、ゆったりとしたローブ姿になっていた。《魔法使い》、という言葉がとても似合う服装だった。
「はじめまして。《赤の太陽》カズです」
「《音を運ぶ風》リーリュウです」
「はじめまして。ハクガから話はよく聞いていますよ」
ハクアはにっこりと笑う。その表情はとても魅力的だ。セモンにはコハクという永遠を誓った女性がいるためさほど効果がなかったが、きっと並みの男なら一発で籠絡されたに違いない。
「そしてあなたが、小波さんの弟さんですね?」
「あ、はい。《神話剣》のセモンです」
「お姉さんによく似ていますね。初めまして」
セモンは姉と似ている外見が苦手だが、まぁ、他人から見れば「仲のいい姉弟」の要素の一つであろう。仲
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