第四章
名前が気になった彼は眠気に身を任せ怒りを覚える。
[5/13]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
ぽい感情表現の中で、僕は初めて、他人の名前を気にした。
「あー、こんなところにいたー!やっはろーヒッキー、それからおはよーう桐山くん!?」
俺の安っぽい純情な感情を一気に掻き消すようなもっとうるさいのが来た。
言うまでもなく、それは由比ヶ浜結衣だった。
「!?の中にある?の意味が俺は非常に気になる。一応言っとくけど、名前、合ってるから」
俺が蛇足(ではないかも知れない)を付け加えると、比企谷も間髪入れず問い返す。
「つーかその挨拶、なに?」
「俺がおはよーうなら、比企谷がやっはろー、である理由は?」
「こんなところに……って俺たちフツーに窓際に居たんですが?」
「そんなに存在薄いですかね……」
「コイツと一緒にされるのはちょっと不服が――」
俺たち二人の追撃に由比ヶ浜結衣は困惑し、終いには「なにコイツらめんどくせえ……」といった顔をした。まあ、気が置けないという意味では良いことかもしれないが、内心が顔に出すぎだと思った。
その後、由比ヶ浜はリア充グループに呼ばれて去っていき、何のグループにも属していなかったぼっち二人は、また窓際で眠気に身を委ねていた。ふと、あの席に目をやる。
青い髪をした女子生徒はもうその席にはいなかった。
俺はずっと寂しい机と空っぽの椅子を見ていた。
妙に涼しかった。気だるい潮風が教室の中に入り込み、僕の虚しさという虚しさを晒していった。
まあ、どうでもいいや。俺が困る訳じゃない。ただ、名前だけが気になった。
目を閉じると、もう開かなかった。
目を覚ますと、もう五時限目が始まっており、授業は移動教室で行っていたようで、まわりには誰一人としてそこにいなかった。ただ、怒りが湧いた。俺は次こそ比企谷に目にものを見せてやるつもりで、静かに、ひっそりと腕を鍛えだした。
それから青みがかった黒髪をした女の子の名前が川崎沙希だと知ったのは、もう少し先のことである。
× × ×
時間は早すぎるくらいに過ぎ、遅すぎる停滞した俺たちは相変わらず窓際にいた。
やれ部活だ。やれアイスだ。やれサーティーワンだ。あーしチョコが良い、と皆が教室から出ていく。帰りのHRも終わり、辺りは喧騒に包まれながらも徐々に徐々にとその静けさを増していった。
やがて、教室には二人のぼっちと一人のオタクが残された。最悪すぎるメンツなんですがこれは……。
これはあれですわ。大人が子供に目隠しして『しっ!見ちゃダメ』って注意するあれですわ。
非常に、非常にむさ苦しい。
特に一番端っこのでっかい巨大巨漢THE・イモクザの威圧感が半端じゃない。
「ぬぅぅうん……ぬうぅぅんん」
「……ひっ!」
なんか唸り出
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ