第四章
名前が気になった彼は眠気に身を任せ怒りを覚える。
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が手に付き汚れたことにまた腹が立ちもう何も言わなかった。
帰りたい。いや帰りたくない。動きたくない。体が怠かった。
気が滅入る。
千葉の町並みがぐらぐら揺れて、気分も悪くなり、立ち眩んで立ち竦み両手を膝に置き立ち往生した。
まるで別の惑星から帰還したかのように重力に体が折られていた。
やっぱり俺はここに居るべきじゃないのかもしれない……。世界がそもそも違うのだ。
すると、息を切らす俺に誰かが近づいてくる音がした。
「……うす」
「……………………………………………………………ああ」
比企谷八幡だ。どうやらこのコースはお気に入りらしい。何せあんまり人が通らないからな!
「やけに反応うすいじゃねーかよ……。まあこれがお前の本心の反応ってとこか」
「……いや、今日は疲れてるだけだ。最近は元気に活動する健康優良児だからな……クソッ」
「健康優良児は外に出てもそんな死にそうな顔はしねーよ」
「死にそうゆーなコラ」
「わりぃ遅かったか……ぼっちだと物言うタイミングが掴めなくってよ」
「何をどう見て手遅れだと吐かすんだ……。お前タイミングがっちり掴め過ぎだろ?ホントにぼっちなの?」
「それは聞き捨てならねぇな……。俺は自分に友達がいないだとかいった自意識だけはかなり高いと自覚している!」
「そんな恥ずかしいことを誇らしげに宣う奴を俺はお前以外に見たことがないよ比企谷」
「お前も友達いないから比較対象いないだろうが。お前の中学校、数学の授業で標本調査について教えなかったの?元にする資料、もとい友達少なすぎるでしょう?」
比企谷はボケにボケ切って何もかもを回収すらせず呟いた。まあ、こう言う会話も悪くないんじゃないかな?楽しいじゃないか。人とか評価とかそう言うの忘れてみようか。本当に悪くないよ。実に悪くない。
比企谷はそれきり黙って「じゃ……お先」と言って自転車に股がって行って、そんな時間はまったく長続きしなかったけれど。……まあ、いい。
それにしても流石はぼっち。立ち漕ぎは風が気持ちいいね。気だるい千葉の潮風も、彼には心地よかろう。それと三点リーダが多い。
一方俺は一人で歩いていった。足下は覚束ない。
また一人でいた。さっき早々に行ってしまった比企谷に向かって足の生えた肉弾が猛進して行った気がするが気のせいだろう。俺は間違いなく刺し違えなく独りだった。刺し違えなく孤独感に貫かれてしまっていた。
だが、そんな虚しさも既に自分の体の芯に溶け込んで、今では穴も塞がって見えなくなって、中は空洞だらけだ。
初めて焼いたホットケーキみたいにブツブツの気泡だらけの醜い僕は、今日も、この街にいた。
――この街で、焦げ付いていた。
全てが丸々ひっくり返っちゃくれないだろうか?それこそべちゃべちゃのホットケ
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