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《SWORD ART ONLINE》ファントムバレット〜《殺し屋ピエロ》
約束
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収まらない。見かねた様に少女が口を開いたのは、メイソンが30秒も笑い続けてからだった。

「あの......早く離れて。さっきからずっとハラスメントコールが出てるわ、牢屋送りにされたいんだったら構わないけど」

《ハラスメント申告》ーー異性のプレイヤーに不適切な行為ができないように運営が設置したプログラムだ。長い間体を密着させることでアイコンが出現し、被害者側が「コール」と短く発音すれば問答無用で牢屋送りにされる。

なるほど、今の自分たちは密着しているどころか、半ばこちらが押し倒しているように見えなくもない。

ようやくさっきから睨め付けてくる理由が分かった。流石に牢屋送りは頂けないので、取りあえず笑みを引っ込めることにした。

「これは失礼」

密着状態の体を心持ち遠ざける。

その時になってようやくMP7のグリップを押さえていることを思い出し、少々乱暴に少女の手からそれをもぎ取った。さしたる抵抗はない。あとは煮るなり焼くなりお好きに、ということか。

立ち上がり、仰向けに倒れる彼女に銃口を向ける。するとさざ波一つたっていない瞳に迎えられ、メイソンはなぜか胸がうずき出すのを感じた。

先ほどとは打って変わって覇気のない諦念に沈んだ色。

別人とも思える態度にひどい違和感を覚える。まだ2,3の言葉しか交わしていないが、メイソンには彼女の性格が何となくつかめていた。少なくとも無抵抗で自分に倒されるタマではない、一体どうしたというのだ。

いや、そもそも自分と戦っていたプレイヤーは”彼女”なのか?

ゾクリと背筋が寒くなった。もしかするとコイツも”俺”と”メイソン”の様に役割分担をしているのかもしれない。

そんな結論に達したとき、メイソンは引き金を引くことを諦め、MP7を明後日の方向に放り投げた。

訝しげに少女の目が細められる。「なぜ殺さないのか」と視線で問われるが、メイソンにだって分かりはしない。強いて言うなら今倒しても意味がないという直感と、ほんの少しの憐憫だろう。

「止めだ、止め。日を改めて仕切り直そうぜ。今回は状況が俺に有利すぎたし、寝てる相手にぶっ放したって全然面白くねぇ」

「ーー馬鹿に、しないで」

「逆だよ。本当につまんない奴だと思ったら見向きもしないっつーの」

そう言うと彼女にくるりと背を向け落ちた《ウージープロ》を拾いに行く。少女が他にも武器を携行していたら一巻の終わりだが、別にそれでも構わないと思った。その時はこっちからゲームのお誘いをすればいいだけの話である。

しかしそんな心配は杞憂だったらしい。無事に相棒をホルスターに戻し、少女が座っている場所に戻ってくる。そして、じっとこちらの様子を伺う少女の足が修復されていることに気がついた。

「へぇ、案外
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