諸刃の信頼
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の腹心がこの大変な時に同僚を疑っている。信頼や絆を大切にする白蓮にはその事が許せなかった。
だが、すっと無言で星に手で抑えられ、続きを聞くべきだと制された。
「続けろ、牡丹」
憤怒の表情のまま白蓮が促すと牡丹は申し訳なさげに続けた。
「だから試したんです。連合に参加を決めた時に私の部下に監視を命じました。何か事を起こすのなら私達三人がいない時を狙うだろうと思って。でも連合が終わっても何も怪しい部分は無かったと報告を聞いて、私の心配は杞憂だったと思い、監視は帰ってからすぐに解きました」
無断で自身の部下の事を監視していた事実を聞き、白蓮の怒気はさらに膨れ上がったが無言で頷いて続きを言えとさらに促す。
「白蓮様、おかしいと思いませんか? 烏丸に対して防衛を行うにしてもまだ時間があります。国境付近に配置してある兵は勇猛で、付近の豪族から支援も貰えるようにしてあるからです。私達に確認を取る手間を掛けるくらいは時間があったはずですよ。なのにあいつは独断で糧食と兵を戻した。この戦が長くなるかもしれないと感じ始めた矢先にですよ?」
言われて二人ともが疑問に思った。
確かに事前忠告もあり、自身の烏丸対策は万全で、いくら大軍で攻められようと少しの時間くらいはある。糧食にしても後付けで送ってもなんとか間に合うだろう。
ならば何故、張純は独断で糧食を戻すという事を行ったのか。
疑問に対する違和感はさらに浮かんだが、しかし白蓮の性格上、そしてこれまでの経験上それを認める事が出来なかった。
もし、異民族が火急を要する程の大軍で押し寄せて来ていたのなら、袁紹軍に蹂躙されるよりも酷い事態になりかねないが故に。
「……杞憂だ牡丹。お前が私の為に全てをしてくれている事は知っているが、あいつだって私の臣下なんだ。今回のお前の話の真意は聞かなかった事にする。烏丸に対しての張純の判断は少し早計過ぎじゃないかと私も感じたからな。お前の不安を取る意味も込めて国境付近にどれだけの敵が来ているか確認をしよう」
攻めて来ている異民族の数が少なすぎれば部下の能力が足りなかったという事で納得しよう。足りない糧食や兵は今後順を追ってその都度手配すればいい。半数を連れ帰っただけなのはこちらも大事だと張純が考えたからだ。
そう白蓮は考えた。
牡丹はそれでも不満げに続けようとしたが、白蓮の一睨みで言葉を呑み込む。
「同時に本城に警戒の伝令を送れ。私達は袁家に対して一刻も早く侵略を跳ね返せるように攻勢を続けるからお前達だけで烏丸の防衛線を持たせてくれ、とな。星は少し残ってくれ」
御意、と一つ返事をして牡丹は天幕を出て行った。
その背を見送ってから椅子に力無く腰を降ろし、白蓮はぽつりと呟く。
「なぁ、星。私は何を信じればいいんだ」
第三者視点で物事を判断出
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