第10話 弱虫番長登場!? 喧嘩はダメ、絶対!
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不自由はないのだが、番達は学生の身分だ。即ち学業を疎かにしてはいけない。なのでこうして日本に戻り学校に通っているのである。
「……で、あるからして。此処の方程式を解くには―――」
数学の講師の長々しい説明が教室内に響き渡る。現在、番の居る教室では数学の授業の真っ最中ならしい。無論、此処は番町の中にある学校。
故にこの学校に通っている生徒の大半は不良か普通の学校へ通えなかった生徒が占めている。
当然、授業をまともに聞いている生徒など教室内に半数とは居らず、番もまた同様に自分の机の上に腕を組んで呑気にいびきをかいている始末であった。
他にも携帯を弄っている生徒も居れば教師の講義に野次を飛ばす生徒も居るし、挙句の果てには授業をほっぽって逃げ出す生徒までもが居る始末。なので教師も半ば諦め気味に無視して講義を続けていた。
「ねぇ、番。授業聞かなくて良いの?」
隣の席に居た美智が番の肩を揺さぶって起こそうとする。しかし、番自身相当眠かったのだろうか、手で肩に触れていた手を払い除けるだけで全く起きる気配がない。
不満に思ったのか、頬を膨らませる仕草を見せる美智は、何を思ったのか、番の耳元に軽く息を吹きかけて見せた。
「んがっ!!」
突如耳元に吹いて来た生暖かい風に驚き、番は飛びあがった。片手で耳を抑えながらも、その目線は隣に居る美智へと向けられている。
安眠を妨害されたのだから相当不機嫌そうな目線を向けていたのだが、当の美智は全く気にしていない。
「起きた?」
「変な起こし方するなよ。気持ち悪いじゃねぇか」
「だって、そうしないと番起きないじゃない」
番は女が苦手なのは名乗り口上からして理解出来ていると思う。その証拠に美智にこうした嫌がらせを受けるとてき面弱かったりする。
番の以外な弱点でもあった。
「轟、変な声挙げてたけど、やる気があるならこの図式を解いて見ろ」
「えぇっ!!」
弱り目に祟り目、とばかりに今度は教師に名指しで指されてしまう始末。当然授業など聞いていなかった番にそんな事出来る筈もなく、結局赤っ恥を掻く羽目になったのは言うまでもない。
その後も何も変わった様子もなく授業は進み、やがて下校時刻となった。
学校の校門付近では大勢の生徒達が家路に向い歩いていた。その中に番や美智の姿も見受けられていた。
相変わらず番は不機嫌そのものでもあったが―――
「どうしたの、番? 今日はずぅっと不機嫌だね」
「お前に変な起こされ方されたせいだよ」
「それよりも前からだよ。番ったら朝からずっと不機嫌だったよねぇ」
「………」
度重なる美智の質問攻めに、遂に番は黙り込んでしまった。口をへの字に尖らせて視線を真っ直ぐ前に向けている。その視線を見た生徒達が一斉に視線から逃げ去って行く。
「ねぇ、悩み
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