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錬金の勇者
5『第一層攻略会議』
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りだったはずだ。エギルという人間の醸し出す、ある種の迫力が、キバオウを押さえつけているのだ。

「キバオウさん。君の言うことも理解できる。俺と、俺のパーティーだって右も左も分からない中を、ここまでやってきたわけだからさ……けど、今はエギルさんの言うとおり、前を向くときだ。βテスターの人たちだからこそ分かることもあるはずだ。だから今は、皆で一つになってボスを倒すんだ」
「……ええわ。ここはあんさんに従ごうといたる。けど、ボス戦が終わったら白黒つけさしてもらうからな」

 ディアベルの爽やかな声に、キバオウがだみ声で返答し、キバオウとエギルはそれぞれ自分の席に戻る。

「よし。それじゃぁ、再開していいかな。ボスの情報だが、先ほど、ガイドブックの『第一層ボス攻略編』が配布された。これによると、ボスの名前は《イルファング・ザ・コボルドロード》。取り巻きは《ルイン・コボルド・センチネル》。ボスの武器は盾と斧、四段あるHPが最後の一つになると、武器をもちかえて湾刀(タルワール)に変える。攻撃パターンも変わる、という事だ」

 プレイヤー達が低くざわめく。ガイドブックが早速配布されていた事に対する驚きも少なからずあるだろう。

 ディアベルはその後、それぞれのパーティーの役割を決めていく。キリト・ヘルメス・アスナ、F隊の三人は、取り巻きMob《ルイン・コボルド・センチネル》の相手を任された。アスナは不服そうだったが、キリトが何とかなだめる。

「それじゃぁ、攻略会議は此処まで。最後に、アイテム分配についてだが、コルは自動分配、経験値はボスを倒したパーティー、アイテムはゲットした人の物とする。異論はないかな?」

 ディアベルの言葉に、全員がうなずき、異論がないことを示す。するとディアベルが、

「よし。明日は朝十時に出発する。以上、解散!!」

 と叫び、第一回攻略会議は幕を閉じた。


「……ボス戦、か」

 ヘルメスは小さくつぶやいていた。ヘルメスがボス戦に参加するのは、ゲーマーとして、最新情報に置いていかれるわけにはいかない、というプライドと、新たなアイテムが手に入れたい、という願望の二つに分けられている。明日のボス戦では、キリトとアスナという二人の仲間の命を預かり、彼らに命を預けることになる。

「……大変そうだな」

 呟くと、ヘルメスは普段ねぐらにしている宿へと戻って行った。
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