Development
第二十八話 ジャーナリズム
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ておき、更識さんにそう言って頂けるということは少なからず認めていただけているということですよね? そんな私も一人の力ではなく、楯無さんをはじめとする友人達やそれ以前にここに来る前に出会った人たちがいなければ今の私はありませんよ」
そもそも束さんに出会わなかったら、間違いなく僕は歪んで育ったという確信がある。今も楯無さんや千冬さんに支えられてこの信じられない生活をなんとか過ごしているし、本音さんには癒されたし鈴さんには大事なことを教えてもらった。フォルテさんには……笑いを、じゃなくて笑顔を貰った。
「更識さんが自分の専用機の開発に専念しているのは知っていますが、それも一人でやる必要はないのでは? もちろん、今この学園で整備関連を頼める人は限られています。でも、楯無さんに頼むのは無理でも……例えば虚さんは整備科の主席ですよ。私だって諸事情でISの整備開発には詳しかったりしますので、お力になれる部分もあります。更識さんさえ手を伸ばせば……差し出される手はあるはずです。だから、どうか一人で抱え込まないください」
これまでどうしても伝えたかったことを言い切った。何度、無理やりにでも手伝おうと思ったことか。でも、それではなんの解決にもならない。だからこそ、彼女のほうから頼ってほしかった。でも、今までの状況では彼女が頼ってくるわけがない、なら考え方を変えてもらうしかない。
それに対して、簪さんは俯いて黙り込んでしまった。鈴さんもここでは言葉を挟んではこない。
「……考えさせてください」
やがて、一言そう言い残して立ち上がった。すぐに背を向けてそのまま立ち去ろうとする。
僕らも彼女が考えると言った以上、それ以上は何も言えないので黙って見守ることにした。
「お茶、ご馳走様でした」
しかし、一瞬立ち止り、振り返りそう言った彼女の表情は、僅かに、ほんの僅かに微笑んでいるように見えた。僕の気のせいかもしれないが、彼女の心境になんらかの変化があったのは確かだろう。
思わず鈴さんと見合わせて、自然と僕らも笑顔になった。
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