Development
第二十八話 ジャーナリズム
[6/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ど、いつものパターンだとこの時間は部屋で作業をしていることが多い。
「あ、もしかしてルームメイトがいる? あたしは別にいても構わないんだけれど……」
さて、どうしたものか。あまり僕が彼女と不仲だと思われるのも困るけど、そもそも簪さんがどういう反応をするか。今のところクラスでも友達らしい友達ができていないし、孤立している状況だ。やっぱり人見知りが激しいのがネックだし、そもそも自分の作業に没頭するあまり周りを避けている傾向にあるのが原因だろう。
なら、鈴さんの持ち前のアグレッシブさは彼女にもいい方向に働くかもしれない。それは、僕としても簪さんとの関係を改善するきっかけになる。
そんな打算的なことを考えながら、僕は彼女を部屋に招待することを決める。
「えぇ、恐らくルームメイトがいると思うけれど、鈴ちゃんが構わないならいらっしゃい。ただ、ちょっと人見知りが激しい子だから……。私もまだ打ち解けられていないのよ」
「ふ〜ん、どんな子なのかしら。まぁ、行けばわかるわね。じゃ、行きましょ!」
行けば僕らの微妙な空気はすぐにバレるだろうから先に話しておくことにした。あとは流れと鈴さんに期待しよう……もちろん僕も改善の努力はするけど。
ところで鈴さんも何か話したいことがあるのかな、また織斑君絡みだろうけど面倒なことじゃなければいいな。
若干失礼なことを考えつつもすぐに僕の部屋の前にたどり着く。
「少し待っていてちょうだい、一応ルームメイトにも許可をとるから」
「ん、わかった」
部屋の前で鈴さんを待たせて、先に部屋に入って簪さんに確認をとることにする。さすがに本気で嫌がった場合は無理やりという訳にはいかない。
「ただいま戻りました。あの……更識さん、いきなりで申し訳ないのですが部屋にお客さんをお入れしてもいいでしょうか?」
予想通り、簪さんは部屋でディスプレイと睨めっこしていたので恐る恐る声をかける。
ちなみに口調に関しては基本的に今まで通りだ。鈴さんと二人きりの場合は慣れる意味も含めて砕けて話すのは続けようと思う。でも、普段から使い分けるのも大変だしあの口調を使う場面は限られるだろうな、自分でも違和感あるし。
……あぁ、僕のことをお姉さまって呼ぶ子たちにはあの口調が喜ばれるんだろうか。うん、やっぱりなるべく普段の口調にしよう。まぁ、もしお願いされたら断りきる自信がないんだけど……。
でも、鈴さんに諭された心構えについては忘れないつもりだ。口調云々は結局きっかけや外面的なものにすぎないのだから。
さて、そんな決意と共に久しぶりにまともに彼女に話しかけたのだけれどその反応は酷いものだった。こちらを向いた顔はあからさまに嫌そうな表情をしている。しばらく間があるのはどうしたものか
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ