Development
第二十八話 ジャーナリズム
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れを面白半分で記事にしようとしちゃったのよね……ってかたっちゃんは知ってたんだ?」
「同室だったしね。ま、薫子ちゃんも最近は暴走気味だったから丁度よかったんじゃない? あなたの記事はウケもいいんだから、人に迷惑のかかる捏造や興味本位の取材はほどほどにしておきなさい」
その後ひとしきり泣いて落ち着いた薫子さんは、もう一度僕に謝ると部屋を出て行った。その際に僕が気にしていない旨を伝えるといつもの笑顔に戻っていた。
「ふぅ、ありがとう、楯無さん」
「いいえ、実は薫子ちゃんのインタビューに対する苦情が生徒会にいくつか来ちゃってたからね。いい口実にさせてもらったわ。ま、彼女なら実力はあるんだしいい新聞記者になるでしょ」
「え〜、ダシにされたのか僕は」
本当に心配してくれて手を回してくれたのはわかるけど、そう言われたままなのも癪なのでいじけた素振りをしてみる。
「ふふ、そんなにいじけないの。そのくらいのつもりでいたほうが罪悪感も湧かないでしょ」
「ん、そうだね。ありがとう」
本当にこの人はよく見ているな、と思う。おどけて見せていても、彼女の言動の一つ一つに意味があって考えてのことなんだってわかる。
……もっとも、本当にただ純粋に遊んでるだけのこともあるんだけどね。
僕はもう一度お礼を言って、今日のところは部屋に戻ることにした。
その途中、予期せず鈴さんと鉢合わせをした。気のせいか、どこか気まずそうに見える。まさか薫子さんが話すとは思えないから、その件ではないと思うんだけど……。
「あ〜、紫音さん。さっき昨日の……えっと確か黛先輩? にすれ違ったんだけど、様子がおかしかったのよ。もしかして昨日の件?」
「えぇ、彼女には話したの」
なるほど、話した訳ではないけど薫子さんの様子を見て察したようだ。部屋を出る前は笑顔を見せてくれていたけど、やっぱりそうそう切り替えられるものではなかったらしい。とはいえ、昨日の件を知っているのは彼女と鈴さんだけだから問題になることはなさそうだ。
「そっかぁ、あの先輩の様子だとあまり人に話せることじゃないのね。もちろん私には……」
「えぇ、ごめんなさい。彼女にも話すつもりはなかったのだけれど、事が大きくなりそうだったから。鈴ちゃんにも……今はごめんなさい」
「ん、いいわ。気にしないで、でもいつか話していいと思ったら話してね」
もう少し探ってくるかと思ったけど、予想に反して彼女の反応はあっさりしたものだった。
「あ、そのかわりといってはなんだけど部屋に行ってもいいかしら?」
「え? えっと……」
彼女からの突然の提案に言葉が詰まる。特に予定はないから、彼女と話す分には問題ないのだけれど……部屋には恐らく簪さんがいる。整備室にいる可能性もあるけ
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