Development
第二十八話 ジャーナリズム
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かったから問題なしとしてたけど、今回ばかりはそうはいかないわ」
「……それは紫音ちゃんにやっぱり何かしら秘密があるってこと?」
楯無さんが珍しく……といったら失礼かもだけど、真面目な様子で薫子さんに話しかける。そこから何かしら察したのか、薫子さんもそれに応じながらチラリとこちらを窺う。
「そうですね、私としても出来れば話したくない類のものなので……。とはいえ、このままだと薫子さんも納得できないでしょうからこうして来て頂きました。ここなら他の方に聞かれたり見られたりする心配もありませんので」
僕が一通り話すと、薫子さんは複雑そうな顔になっている。僕の抱える秘密に対して興味があるし、それを教えてもらえることに対して嬉しい反面、僕らの口ぶりからそれが厄介なものであることを察したようだ。
「……わかったわ。ここで見聞きしたことは口外しない。もちろん、犯罪の類の場合には約束できないわよ」
その薫子さんの言に僕は思わず苦笑してしまう。今から話すことは偽りの理由だけど、本当の僕の秘密は犯罪と言われても仕方ない部分がある。
「えぇ、それはご安心ください。私がみなさんと着替えられなかったり、お風呂に入れないのは……傷があるからなんです」
「なっ!?」
そう言いながら、僕はスカートを捲し上げる。こんなことを考えている場合じゃないんだけど、なんだかこの行為がイヤらしい感じがする。僕の方を見て絶句している薫子さんの後ろでは楯無さんがニヤニヤしている。静かに取り出した扇子には『扇情的』と書かれている。大きなお世話だよ!
「ご、ごめんなさい! 私、まさかそんな理由があったんて知らなくて……」
楯無さんに気を取られていたけど気づけば薫子さんは青ざめたような顔になっている。すぐにハッとしたように僕に謝ってきた。
「いえ、こちらこそ黙っていてごめんなさい。傷があるなんて言い出すのも気が引けますし、逆に皆さんに見せても気を遣わせてしまうので……」
「ううん、そんなこと当然よ。まさか紫音ちゃんがそんなこと抱えていたなんて思いもよらなくて……だっていつも明るくて笑顔で、微塵もそんなことを感じさせなくて……。でも、紫音ちゃんだって事故に巻き込まれたり、大変だったんだよね。そんなことにも気付かないで……うぅ、私は……」
よっぽど傷痕が衝撃的だったのか、そのまま彼女は泣き出してしまった。ここまでショックを受けるとは思っていなかったから、僕も少し後ろめたい気になってしまう。とはいえ、このままでは彼女も遅かれ早かれ誰かを傷つけることになってたかもしれないから、いい機会かもしれない。
「その様子だと心配ないだろうけど、もしこれを口外するようなら私としては黙っていられないんだけど?」「い、言えるわけないじゃん! う、私はそ
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