ルリム・シャイコースとの戦い W
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。・・・・・・やるなら、今のうちだよ。』
「・・・ッ!」
先ほどとは打って変わって真面目な翔輝の声に、護堂も息を呑む。
『君がやろうとしていることは、その子の今後の人生を大きく左右する。・・・だけど。』
そこで息を吸って、
『君が本当にそうしたいと思ったのなら、私たちに相談なんてする必要はない。私たちには打つ手がないしね。その子と話をして、その子が了承するのなら、君はその力を行使するべき。・・・君は、既にカンピオーネだ。人道とか、そういうのは一切気にしなくていい。誰に縛られることもなく、誰の命令を受けることもない王者なんだから。』
「・・・王者。」
『その子と話をするべきだよ。既にあまり時間はない。後回しにして、君がもし、ルリム・シャイコースとの戦いで死んでしまったらどうするの?その時その子は、永久にその場所で生きることになるんだよ?』
「・・・そう、ですね。」
絶対に勝てるという保証はない。もしかすれば死ぬかも知れない。だからこそ、やれることは全てやるべきだ。
後悔など残すな。『帰ってきたらやる』なんて死亡フラグはいらない。
『・・・幸運を祈るよ。』
「・・・はい。」
通信を切る。
ゆっくりと深呼吸をして、祐里に向き合う護堂。今までの会話を聞いて、自分に関係のあることなのだと知っている祐里は、冷や汗をかきながら唾を飲み込んだ。
「・・・・・・鈴蘭さんたちには、祐里を助ける手段がない。」
「・・・ッ!」
覚悟していたことだった。しかし、言葉にされるとこうも辛いとは。永久に一人になるかも知れないという恐怖が、彼女の心を満たそうとしていた。
・・・しかし。
「だけど、俺は・・・多分、祐里のことを救う事が出来る。」
「・・・・・・!」
祐里は賢い娘だ。ここで呑気に喜ぶことなど出来ない。・・・何のデメリットもなしなら、護堂が既に力を行使しているだろうからである。これまでの会話から、彼の性格はある程度推測出来ている。彼は、困った人がいれば放っては置けないという、お人好しの部分がある。祐里を元に戻す事が出来るなら、迷わずその方法を使うはず。
・・・つまり、護堂が使うか迷っているその手段とは、それなりの悪影響があるということだ。
「俺は、まつろわぬクトゥグアを倒している。その時に得た権能が・・・まだ名前もついていないんだけど、あるんだ。」
クトゥグアを倒した後、彼には新しい権能が宿っていた。・・・が、その権能の内容ゆえに、この権能は使わない、と決めていたのだ。
だからこそ、『どんな権能を得たのかは分からない』とまで嘘をついて、鈴蘭たちに教えなかった。
【炎の王国】。
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