ルリム・シャイコースとの戦い W
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なければ。
そもそも、護堂が”神堕としの魔道書”に主として認められていなければ。
護堂が、まつろわぬナイアーラトテップと接触し、その権能の一部を奪っていなければ。
護堂が、神々と戦う恐怖に負けずにナイアーラトテップと戦い、勝利していなければ。
これらの連続した奇跡がなければ。この中のどれか一つが欠けていても、護堂の代わりに様々なカンピオーネが戦っていただろう。・・・そして、ナイアーラトテップとクトゥグアと戦っているうちに、正気をなくしていたかも知れない。そこから始まるのは・・・地獄だ。
特に、【聖魔王】名古屋河鈴蘭はマズイ。あのカンピオーネは、尽きることのない膨大な呪力と再生能力を持ち、遠近中距離全てに対応し、更には空間転移という規格外の能力を持つカンピオーネだ。
世界中どこにでも瞬時に現れ、暴れまわり、自分の身が危険になれば転移で逃げることも出来る。重傷を負わせても次の瞬間には再生し、呪力切れを待とうにもそれは有り得ない。
毒ガスや爆弾を作成すれば広域破壊も容易といった、敵に回ればこれ以上ないくらいに厄介な相手なのである。
更に言えば。
世界でも一部の者たちしか知らないが、彼女は元々、権能などなくても、神々を圧倒出来る実力の持ち主なのである。心臓を貫かれても死なないほどの不死性すら持っている彼女に、どんな方法を使えば勝利出来るというのだろうか?
正直言って、規格外揃いのカンピオーネ連中から見ても、更に異端。たった一つの権能しか持っていない新人の分際で、熟練の神殺しを圧倒出来る能力の持ち主なのだ。
大げさかも知れないが。世界滅亡の危機である。
それを護堂に説明すると、彼も顔を青ざめさせた。
「・・・おいおい、それ程の力を持ってるのかよあの人たちは。」
「ええ。あの方たちがいるので、日本は今、爆薬庫とか、核兵器所持国より危険な国とか、【魔界】とか言われて恐れられています。古くからの術師の家系でも、逃げ出す人たちが多くいましたし。」
「おいおい・・・。」
事ここに至って、ようやく自分の重要さを正しく認識した護堂。彼と同じく狂気の権能を無効化出来る、【冥王】ジョン・プルートー・スミスは療養中で動けない。護堂が負ければ、後は彼女たちが動くしかないだろう。彼は正しく救世主。破滅に繋がるかも知れない未来を、回避出来る存在なのだ。
「・・・こりゃ、負けられないな。」
「・・・。」
まつろわぬルリム・シャイコースがまだ生きていることを教えてもらっている祐里は、護堂の横顔を見つめた。彼の表情は何だろう?一体、どんな気持ちでいるのだろう、と。
(憎悪、苛立ち・・・でも、好奇心や期待もある・・・?)
やはり、なってからまだ数
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