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カンピオーネ!5人”の”神殺し
ルリム・シャイコースとの戦い W
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鈴蘭が口移しで飲ませた神の雫(エリクシール)によって完治しているが、全身が溶ける(・・・・・・)という異常な体験をした彼女の肉体は、その痛みを鮮明に覚えてしまっているのだ。
 元々、怪我をすることなど殆どない生活を送っていた為に、痛みには耐性がない。むしろ、常人では発狂してしまうほどの痛みを味わいながらも、そうはならなかった強靭な精神力を称えるべきなのだろう。

 そんな彼女は、立ち上がる元気もないまま、ベッドの上で今後の事を考え続ける。

「・・・何か、お手伝い出来ることはあるでしょうか・・・?」

 これほどの恐怖を味わって、それでも尚、自分に出来ることを探し続ける。並みの魔術師にも出来ないようなことを、戦闘能力の全くない彼女は、当たり前のようにやっていた。

 ・・・殺された人たちの仇を討ちたい、という気持ちもあったが。

「・・・あの方は、無事でしょうか・・・?」

 彼女が思い出すのは、自分が壊れてしまいそうになったあの瞬間に、まるで物語の主人公のように助けに来てくれた少年だ。

 新しい神殺し。羅刹の君。

 彼女が、存在すら知らなかったカンピオーネは、彼女の危機に突然現れた。・・・あと、ほんの少し早く来てくれれば、という思いもあるが、過ぎたことをグチグチ言っても仕方がない。
 ほんの数日前に神殺しとなったばかりだという彼は、先輩である筈の【聖魔王】にサポートされ、まつろわぬルリム・シャイコースと戦い始めたのだ。

 何故、先輩である鈴蘭率いる【伊織魔殺商会】が戦わないのかは、祐里にはわからない。彼女の体は、ルリム・シャイコースによって狂気の権能の効果が及ばないように変質させられているため、クトゥルフの神々が人を狂わせる権能を持つことを、そもそも認識していない(もっとも、『自覚出来ない狂気を生み出す権能』なのだから、ルクレチア・ゾラくらいのレベルの実力者でなければ気がつけないのだが)。

「・・・・・・無事でいてください。」

「おう。キミも無事だったみたいだな。」

「!?」

 独り言に返答された祐里は、慌ててドアを見る。元々半開きになっていた扉から、護堂が顔を見せていた。

「あ・・・!」

「いや、無理して動かなくていい。大変な目にあったんだろ?休んどけ。」

「いえ、羅刹の君を前にして、御挨拶もしないなど・・・!」

 そう言って姿勢を正そうとする祐里だが、護堂は首を振って拒否した。

「止めてくれ。俺はそんなことされる人間じゃない。自分と同い年くらいの美少女に頭を下げられて、普通に振る舞えるような度胸のある奴じゃないんだ俺は。」

「しかし・・・。」

「ハァ・・・。なら命令だ。そんな硬い挨拶なんかいらない。止めてくれ。」

「・・・分かりまし
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